紅塵(読み)コウジン

デジタル大辞泉 「紅塵」の意味・読み・例文・類語

こう‐じん〔‐ヂン〕【紅×塵】

赤茶けて見える土ぼこり。市街地に立つ土ぼこりなどにもいう。
「―三千丈の都会」〈独歩牛肉馬鈴薯
俗人の住む世の中。また、俗世の煩わしさ。俗塵
「―深くかさなりていとき者多し」〈透谷・当世文学の潮模様〉

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精選版 日本国語大辞典 「紅塵」の意味・読み・例文・類語

こう‐じん‥ヂン【紅塵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 空が赤く見えるほどの土ぼこり。市街地に立つ土ぼこり。また、繁華な都市。
    1. [初出の実例]「紫陌暮風発。紅塵靄々生」(出典:経国集(827)一四・奉和詠塵〈藤原関雄〉)
  3. 浮世のちり。俗世のわずらわしさ。俗塵。
    1. [初出の実例]「一日放遊休俗慮、白雲幽処隔紅塵」(出典:本朝無題詩(1162‐64頃)九・暮春於醍醐寺即事〈藤原敦光〉)
    2. 「一蓬の月万頃の天、紅塵(コウチン)の外に遊んで白頭の翁と成りにけり」(出典:太平記(14C後)四)
  4. 香木の名。分類は伽羅(きゃら)。香味は苦甘辛。六十一種名香の一つ。正倉院宝物の全浅(桟)香がそうであるという。〔名香目録(1601)〕
  5. 花びら。落花。
    1. [初出の実例]「千株香雪三春晩、十丈紅塵一道流」(出典:詩聖堂詩集‐三編(1838)八・墨多川)

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普及版 字通 「紅塵」の読み・字形・画数・意味

【紅塵】こうじん(ぢん)

都大路の雑鬧。陳・徐陵洛陽の道、二首、一〕楽府 柳、三春く 紅塵、百戲多し

字通「紅」の項目を見る

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デジタル大辞泉プラス 「紅塵」の解説

紅塵

1932年製作のアメリカ映画原題《Red Dust》。監督:ビクター・フレミング、出演クラーク・ゲーブル、ジーン・ハーローほか。1953年に再びクラーク・ゲーブル主演でリメイクされている(邦題モガンボ』)。

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世界大百科事典(旧版)内の紅塵の言及

【香木】より

…《正倉院御物棚別目録》《法隆寺資財帳》《東大寺献物帳》等には,黄熟香(おうじゆくこう),全桟香(ぜんせんこう),沈香(じんこう),沈水香などの名で,香木が麝香(じやこう),コショウ,桂心等の香料とともに香薬として記載されており,また正倉院には黄熟香,全桟香,沈香のほか薫陸香(くんろくこう)(乳香),丁香(丁字花),えび香(調合した防虫芳香剤)等の香料が多量に収蔵されている。香道家はこの黄熟香を蘭奢待(らんじやたい),全桟香を紅塵(こうじん)と香銘で呼んでいるが,いずれも伝説的な天下第一の名香である。平安貴族は香を神仏に供えるのみでなく,日常生活の中で賞美する趣味の対象とし,沈香の粉末のほか各種の香料を調合練り合わせる空薫(空香)物(そらだきもの)(練香)に婉艶華麗な世界をひらき,秘技を競った。…

※「紅塵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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