江戸時代において民間の業者の手を経て流通する物資のことをいい、年貢米・藩専売物資など蔵屋敷を経て流通する蔵物(くらもの)に対する語である。貢租物資や藩専売品がつねに蔵物とは限らず、それらが民間の流通機構を経るときには納屋物とよばれた。米の場合、蔵屋敷を経るものを蔵米、納屋物雑穀問屋などの民間ルートを経由するものを納屋米といい、大坂では流通量の比率は蔵米四対納屋米一程度だったといわれる。納屋物の配給組織は一般的には、荷主―船持―荷積問屋―荷受問屋―問屋―仲買―小売のルートとなっていたが、商品によっては、荷主と問屋との間に仲買が介在することや、問屋と仲買の区別が判然としない場合もあった。近世後期になると農村での商品生産が盛んとなって、納屋物の取引量は漸次増大した。
[宮本又郎]
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江戸時代,生産者から直接に商人の手で流通した商品。蔵屋敷を通じて商品化される蔵物に対する語。そのうち米穀を納屋米という。ほかにも油・塩・木材・紙・肥料など多くの商品があった。江戸中期までは蔵物取引が盛んだったが,しだいに納屋物取引がふえる。そのため,宝暦~天明頃に大坂商人らが再三にわたり納屋物会所や問屋株設定を出願し,1835年(天保6)に納屋物雑穀問屋が認められた。納屋物のなかには問屋・仲買・小売という区別なく流通するものもあり,この販売経路は不定で,仲買を欠くこともあった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…江戸時代でも河岸(かし)に建てられた商業用倉庫を納屋といった。ここから転じて,商品のうち,大名らの荷物で蔵屋敷を経由して取引きされる商品を蔵物というのに対して,商人が生産者や生産地商人との取引きで流通させる商品を納屋物とよんだ。(3)高級倉庫に対し,簡単で小さな倉庫をいう。…
※「納屋物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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