ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紬織」の意味・わかりやすい解説 紬織つむぎおり 紬糸で織った絹織物。紬糸は元来屑繭からつくった真綿を引き伸ばして紡ぎ出した糸で,これを平織に織ったものが紬織である。糸の太さが一定せず節があるので,織り上がった感じは荒く,野趣に富んでおり,ざっくりした手づくりの味があるが,着るほどに絹のつやが出るのが特徴である。生地の質はじょうぶで染色しやすい。また,経糸(たていと),または経糸・緯糸(よこいと)両方に玉糸(玉繭から製糸した絹糸)を使用したものもある。柄は白地,無地,縞,絣などに織られ,広く和服地として用いられているが,洋服地やネクタイ地もつくられている。紬は古くから各地で生産されている。 (1) 結城紬 茨城県結城市付近の産。経糸・緯糸に古来の紬糸を用い,おもに縞,絣が多い。柄に渋みがあり,生地はじょうぶ。 (2) 大島紬 奄美大島および鹿児島市付近の産。玉糸を用い,絣柄が多い。 (3) 置賜紬 山形県南部の置賜地方の産。産地によって技法や工程が異なり,米沢市の草木染,長井市の緯総絣(よこそうがすり),経緯併用絣(たてよこへいようがすり),白鷹町の板締小絣(いたじめこがすり)がある。 (4) 村山大島 東京都,埼玉県の産。玉糸を使い大島紬に似せたものが多い。 (5) 久米島紬 沖縄諸島の久米島が原産地で,琉球紬として知られている。 (6) 八丈紬 伊豆七島の八丈島の産。黄色を主体とした黄八丈が名高い。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報