電気絶縁性の高い塗膜を形成する塗料。絶縁塗料の代表的な形態としてはワニス、粉体塗料、電着塗料等があるが、被塗物の材質や形状、必要とされる膜厚に応じて使い分けられる。ワニスは樹脂を溶剤に溶かしたものが一般的であるが、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂等では溶剤を用いないタイプもある。耐熱性が必要な用途にはポリアミドイミド樹脂やシリコーン樹脂が使用される。コイル、布管の含浸、エナメル線加工等に用いられる。粉体塗料は溶剤を用いない塗料で、ベース樹脂としてはおもにエポキシ樹脂を使用し、熱溶融や静電気により塗装される。比較的厚膜を要求される電子部品の外装やモータースロット(コイルを巻く溝)の絶縁塗装に用いられる。電子部品用では難燃性付与が一般的である。電着塗料は水あるいは溶剤を溶媒とした塗料で、荷電した塗料粒子を金属系被塗物に電気的に付着させる。ベース樹脂としてはおもにエポキシ樹脂が使用され、耐熱性が必要な用途にはポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂が使用される。マイクロモーター等の小型部品で薄膜均一塗装が必要な用途に用いられる。
[炭山宜也]
電気絶縁性のある塗料。JISでは電気絶縁塗料という。エナメル導線用ワニスのような表面塗布用のもの,マグネットコイル含浸用のように機器の絶縁層のすき間を満たす内部含浸用のもの,ワニスクロス(導線被覆用エンパイアクロスともいう)やワニスチューブ(裸導線の絶縁用)用のものがある。電気絶縁性がよく,長期にわたり劣化しないこと,乾燥性(含浸用は内部乾燥性)がよいこと,乾燥皮膜の機械的強度が大で,たわみ性がよいこと,耐熱性,耐湿性,耐薬品性,金属への密着性がよく,熱伝導率が大きく機器内の蓄熱が少ないことが要求される。含浸用については浸透性がよいこと,油入変圧器のコイル含浸用は耐油性の大きなことも重要である。表にエナメル導線用ワニスの組成と特徴を示す。
執筆者:大藪 権昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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電気絶縁性の皮膜を与えるワニスをいう.一般には,固有絶縁抵抗が大きく,耐水性,耐油性,耐熱性がよく,銅などの金属を腐食せず,機械的にも強く柔軟性のある塗膜を形成するような塗料をいう.主として,電線,電気器具などの絶縁に用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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