ナット(読み)なっと(英語表記)Yves Nat

デジタル大辞泉 「ナット」の意味・読み・例文・類語

ナット(nut)

ボルト組み合わせて、物を締め付けるのに用いる機械部品。ふつう外形が六角形で、中央の穴の内面にねじが切ってある。
ロッククライミングの用具の一。金属製で、岩の割れ目などにはめこんで、確保や前進用の支点として用いる。初め1を利用したところからこの名がある。チョックナッツ
木の実。→ナッツ
[類語]螺子ねじ雄螺子雌螺子木螺子ボルトビス

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精選版 日本国語大辞典 「ナット」の意味・読み・例文・類語

ナット

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] nut )
  2. 通常正六角形の小片の中央に穴をあけ、雌ねじを切った機械部品。四角形その他のものもある。ビス・ボルトと対になって締めつけに用いる。〔舶用機械学独案内(1881)〕
  3. ナッツ

なっ‐と

  1. 〘 副詞助 〙 「なりと」の変化したもの。
    1. [初出の実例]「碁なっと一番打ちたい」(出典:歌舞伎・傾城浅間嶽(1698)中)

ナット

  1. ( Yves Nat イブ━ ) フランスピアニスト。パリ音楽院教授。ドイツ音楽、特にベートーベンシューマン演奏を得意とした。(一八九〇‐一九五六

なっ‐と

  1. 〘 副詞 〙 「なんと(何━)」の変化した語。〔日葡辞書(1603‐04)〕

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百科事典マイペディア 「ナット」の意味・わかりやすい解説

ナット

フランスのピアノ奏者。幼くして楽才をあらわし,10歳で自作の管弦楽曲を指揮してサン・サーンスフォーレに認められる。パリ音楽院(コンセルバトアール)ではコルトーと同窓。1909年ドビュッシーに伴われ英国でデビュー。演奏活動のかたわら母校の教授を務めた。病気のため一時引退。ベートーベン,シューマンなどドイツの作曲家の作品に造形力豊かな名演を残したほか,イザイエティボーエネスコらとも共演。作曲家としても知られた。→井口基成ベイロン・ラクロア

ナット

中央に雌ねじ穴を切ったねじ部品で,ふつうはボルトと組み合わせて2部品の締結に使用する。スパナなどで締める。外形が六角形の六角ナットのほか,四角ナット,八角ナット,丸ナットや締め付けるためのつまみがついた蝶(ちょう)ナットなどもある。
→関連項目機械要素自在スパナねじ

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改訂新版 世界大百科事典 「ナット」の意味・わかりやすい解説

ナット
Nat

ミャンマー(旧ビルマ)土着の民間信仰における一種の精霊。ビルマ語発音は〈ナッ〉。アニミズム的精霊崇拝に基づくもので,樹の精や地霊など没個性的なものから,村や財産を守護する死霊,さらには独立した人格をもつものまである。ナットは不幸や病気をひき起こす力をもつとして恐れられ,慰撫のため供物や祈りが捧げられる。祭式執行者や巫女も存在し,ミャンマーの諸民族間で仏教とともに信仰されている。多くの家庭では家の守護神として赤い布をかぶせたココヤシの実がまつられるが,それは同時にポパ山(ミャンマー中部,ミンジャン平原にある)の鎮護国家的霊マハーギーリ・ナッの神体ともみなされている。シュウェピン兄弟・ナッやダビンシュウェティー・ナッなど非業の死を遂げた歴史上の人物の死霊を源とする37のナットの系列のほかに,帝釈天の転化であるタジャーミンなど,ヒンドゥー系や仏教系の神々もナットとしてまつられる。またウ・ミンジョウなど,ほとんどのビルマ人に知られているナットのほかに,特定の地域のみで信仰されているものもある。
執筆者:


ナット
nut

ボルトなどおねじ部品と組み合わせ,機械部品の締結に用いるめねじ部品。
ねじ
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナット」の意味・わかりやすい解説

ナット(部品)
なっと
nut

一般に締め付け用としてもっとも多く用いられているボルトの雄(お)ねじと組み合わせて使用される部品で、重要な機械要素の一つ。普通、外形は六角形のものが多いが、四角形その他の異形品もある。ナットの内側に雌(め)ねじが切ってある。上面に回り止め用の割りピンの入る溝の切ったものを溝付きナット、翼形のつまみのついているものを蝶(ちょう)ナットという。また、袋ナットといってねじ穴が貫通していないものもある。ボルトと同様、種類と呼び径の組合せに対応して、等級A、B、Cが定められている。

[中山秀太郎・清水伸二]



ナット(Yves Nat)
なっと
Yves Nat
(1890―1956)

フランスのピアノ奏者。南仏ベジエに生まれ、パリに没。パリ音楽院でコルトーの師ディエメールに学ぶ。病身のため演奏活動はコルトーの華やかさに及ばなかったとはいえ、ベートーベンとシューマンの解釈で一家をなす。また室内楽でも、バイオリンイザイチボーと組んだ二重奏で名声を高めた。のちパリ音楽院教授。ナットに学んだ井口基成(もとなり)が、独自のピアノ教育法で多くの英才を送り出したのは有名。

[岩井宏之]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナット」の意味・わかりやすい解説

ナット
nut

ボルトと組合せて,物体を締めつけるのに用いる部品の総称。軸心部にめねじが切ってある。 (1) 六角ナット 外形が六角形で,最も一般的に使われる。 (2) 四角ナット 外形が四角形で,特殊な設計目的か低価格を要するときに用いる。 (3) 蝶ナット 指で締めつけられるようにつまみをつけたナット。 (4) アイナット 植込みボルトと組にして機械器具を運搬するのに用いる。吊金具,眼つきナットともいう。 (5) 溶接ナット ナットの片面に突起部を設け,鋼板に溶接して用いる。自動車の組立てラインなど,現場でのめねじ加工を省略したい場合に使われている。このほか,止めナット,ばね板ナット,袋ナットなど二十数種がある。

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世界大百科事典(旧版)内のナットの言及

【アニミズム】より

…日本各地で見られるキツネツキ,ヤコツキ,オサキツキなどは,動物霊憑依の例である。日本の霊魂・精霊に相当する霊的存在に,タイのピーphi,pii,ミャンマーのナットnat,インドネシアのアニートanito,マレーシアのハントゥhantuなどがある。これら霊的存在は民衆の宗教生活の主要部分に深くかかわり,畏敬・畏怖の対象とされていることが多い。…

【ねじ】より

…つりボルトともいう。
【ナットnut】
 おねじであるボルトと1組になって機械部品や構造物の締結に用いられるめねじ部品。 六角ナット六角柱状の部品で,中心部の穴にめねじが切ってある。…

【実】より

…カサスゲのように果皮が薄く種皮と離れているものを胞果utricule,イネのように果皮と種皮が合着しているものを穎果(えいか)caryopsisと呼ぶ。堅果(けんか)nutはクリ,ドングリ類,ハシバミのように比較的大型の堅い果皮をもつ実であるブナ科の堅果の基部にある椀状体(クリのいが,ドングリ類の皿)を殻斗(かくと)と呼ぶ。分離果schizocarpは一つの実に複数の種子が入っているが,それぞれは分離して,分果mericarpをなす。…

【ねじ】より

…螺子(らしとも読む),捻子,捩子などの字があてられ,スクリューということもある。 ねじはあらゆる分野で大量に使用されており,その用途は,機械や構造物の部分どうしを強固に結合するための締結用(ボルト,ナット,木ねじなど),回転運動を直線運動に変換する運動用(工作機械の送りねじ,親ねじなど),微細な位置決め(デバイダーやコンパスの開きの調節など),微小寸法の拡大・指示(マイクロメーターのスピンドルなど),大きな力を発生させる倍力用(ジャッキ,万力など)に大別される。 現在行われているねじの製造法は切削を利用したものと塑性加工を応用したものに大別できる。…

※「ナット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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