改訂新版 世界大百科事典 「管継手」の意味・わかりやすい解説
管継手 (くだつぎて)
pipe fitting
管を用いて水,油,空気,蒸気などの配管を行うとき,配管に自由な形を与えるために,管と管との接続に使用する部品。管継手は,それと接続する管と同等の耐圧力をもたなければならないので,ふつう管と同じ材料で作られる。管継手は,まず接続の目的によって分類される。同じ径の直管どうしを接続するもの(ソケット,カップリング),異なる径の直管を接続するもの(径違いソケット,レジューサー),管軸の方向を曲げるもの(45°・90°・180°エルボー,曲げ半径の大きいものはベンドという),1本の分岐をもつもの(T字管,Y字管),2本の分岐をもつもの(十字管,クロス),管端をふさぐもの(キャップ,プラグ)などがあり,配管の用途や耐圧性に応じて形や寸法がきめられている。管と管継手を接続する方法にも,いろいろな種類がある。溶接,ろう付け,接着などによる方法は,接続後ふたたび脱着する必要のない個所に適している。とくに高温,高圧の流体を扱う場合は,溶接式が漏洩(ろうえい)のおそれも少なく,最も信頼性に富んだ方式として広く使われている。ねじ込み式は,場合によっては脱着も可能であるが,分解,脱着の便のためには,むしろフランジ継手が適している(図a)。脱着が,きわめて容易な接続方式として,低圧や小口径の配管には,ユニオン継手(図b)が利用される。また,管と継手との接続工事を容易にする目的で,空調用の銅配管などでは,管端を円錐状に拡張してこれを継手側の円錐座に圧着するフレア配管が広く応用されている。同じく円錐のくさび作用を利用するものとして,くい込み式管継手もあるが,これは高圧(210気圧)の油圧配管にも使われている。
以上のほかに,温度変化によって生ずる管軸方向の伸縮を吸収するために伸縮継手が使われるが,蛇腹状のベローを利用する形式が多い。JISには各種の管継手の規格が制定されている。材料としては,可鍛鋳鉄,炭素鋼,合金鋼,ステンレス鋼,アルミニウムなどが一般的であるが,水道用の鋳鉄管や石綿セメント管の継手についても規定がある。そのほか,最近簡易水道用としての普及が著しい硬質塩化ビニルやポリエチレン製の継手についても規格が制定されている。
継手部分の内面は,流路の屈曲が激しかったり,内面の凹凸が大きい場合が多い。このような部分を通過する流れには,直管部分に比べて著しく大きい圧力損失が生じやすいので,継手部分の多い複雑な配管の圧力損失の見積りは,便覧などの資料を活用して慎重に行う必要がある。
→管
執筆者:大橋 秀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報