綱丁(読み)こうてい

精選版 日本国語大辞典 「綱丁」の意味・読み・例文・類語

こう‐ていカウ‥【綱丁】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、調、庸、雑物などを諸国から京へ運送する官物運納の責任者国司史生以上の者または郡司がなるときは綱領と呼ぶ。また、荘園制で、給米をうけて、本所領家年貢を送る人夫の長をもいう。こうちょう。〔三代実録‐貞観四年(862)五月二〇日〕

こう‐ちょうカウチャウ【綱丁】

  1. 〘 名詞 〙こうてい(綱丁)色葉字類抄(1177‐81)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「綱丁」の意味・わかりやすい解説

綱丁 (ごうちょう)

律令制のもとで調庸物や舂米しようまい),封戸(ふこ)からの輸納物などを京まで運送するときの宰領をいう。国司・郡司がこれにあたるときはとくに〈綱領〉と称した。《延喜式》によれば,米であれば,300石以上は国司の史生(ししよう)以上,それ以下では郡司およびその子弟ならびに富裕な百姓などが携わるという原則が定められている。綱丁は輸送労働者である運脚や担夫を引率し,〈門文〉という一種の送り状を携え,納入した物品について納入先から〈収文〉という一種の領収証を与えられた。彼らは輸送に関して責任を有しており,損失があった場合には一定の割合で私物によって弁償しなければならなかった。9世紀後半になると,納入先である官司や貴族の家が彼らに対して非法な取りたてを行い,一方では,彼ら自身が輸送品を利用して買官や宅地購入などの費用としていたことがあり,混乱が目だってきた。また荘園制下で本所・領家から給米をうけて年貢運送を宰領したものも綱丁と称した。
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世界大百科事典(旧版)内の綱丁の言及

【上乗】より

…古代には上乗の語は見られない。律令制下,調庸などの官物輸送の総轄者である綱領,綱丁(こうちよう)などはさしずめ古代の上乗といえよう。綱領は下級官吏,綱丁は富裕人で,積荷の損害などに責任を負わされていた。…

※「綱丁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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