舂米(読み)ショウマイ

デジタル大辞泉 「舂米」の意味・読み・例文・類語

しょう‐まい【×舂米】

米を臼でつくこと。また、ついて白くした米。つきよね。
奈良平安時代諸国脱穀して京都に輸送し、大炊寮おおいりょう内蔵寮くらりょうに納めた米。

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精選版 日本国語大辞典 「舂米」の意味・読み・例文・類語

しょう‐まい【舂米】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 米を臼(うす)でつくこと。また、ついて精白した米。つきよね。〔張籍‐羈旅行〕
  3. 奈良・平安時代、脱穀した米。もみがらを取り去った米。黒米(玄米)・白米精白米)の区別がある。租は主に国郡に留めるが、京に送るものは脱穀して舂米とした。京では白米を大炊寮(おおいりょう)、黒米を民部省内蔵寮(くらりょう)に収納した。〔令集解(701)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「舂米」の意味・わかりやすい解説

舂米 (しょうまい)

〈つきしね〉〈つきよね〉ともいう。稲穀の籾がらをとり除いたもの。古くはその作業は主として女性が臼と杵(竪杵(たてぎね))で行った。大和朝廷のもとで屯倉(みやけ)が置かれると舂米部(つきしねべ)が定められることがあった。律令国家の成立とともに官司での食料が多量に必要となると,〈年料舂米〉として定期的に政府に納入させた。その財源はたてまえ上は田租から支出されることになっていたが,実際は正税稲(しようぜいとう)が用いられた。この運送は農民雑徭(ぞうよう)によったが,政府から食料が支給されるようになった。一方,9世紀後期には別に〈年料租舂米〉と称されるものがあり,この起源は不明であるが,こちらの方は田租をついて中央に納入するもので,大粮(たいろう)の財源とされたようである。これは運賃が正税から支出された。《延喜式》によると,年料舂米輸納国は22ヵ国,年料租舂米は18ヵ国で,いずれも近国ないし海運に便利な国があてられていた。平城宮跡などでは年料舂米に付けられていたと思われる荷札木簡が多数出土している。
正税
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「舂米」の意味・わかりやすい解説

舂米
しょうまい

穎稲(えいとう)あるいは穀(こく)を舂(つ)いて籾穀(もみがら)を取り除いた米。「舂米(つきしね)」ともいう。穎稲一束は穀1斗に相当し、それを舂くと舂米5升が得られる。令の規定では、年料舂米(ねんりょうしょうまい)として田租(でんそ)を舂いて京進し、中央官司の官人の食料にあてることになっていたが、実際には出挙稲(すいことう)が用いられた。9世紀になると庸米の不足を補うために年料租舂米として田租が舂かれて京進されるようになった。なお、舂米は重貨なので近国や海運に便利な国が運京国にあてられた。

[寺内 浩]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「舂米」の解説

舂米
しょうまい

「つきしね」とも。稲穀を舂(つ)いて籾殻(もみがら)をとりのぞいた米。精白の程度により白米・黒米の別がある。またとくに律令制下,諸国から舂米を京進する年料舂米の制度をさす。田令には租の一部を舂いて(脱穀・籾摺(もみすり)・精白)中央に送る規定があるが,天平期の正税(しょうぜい)帳や平城宮跡・長岡京跡出土の舂米貢進木簡の実例では,正税穎稲(えいとう)をあてている。近国や海路輸送の可能な縁海国から京進された舂米は,大炊(おおい)寮に収められて諸司の常食に供された。貢進単位は5斗が一般的。

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世界大百科事典(旧版)内の舂米の言及

【舂米】より

…古くはその作業は主として女性が臼と杵(竪杵(たてぎね))で行った。大和朝廷のもとで屯倉(みやけ)が置かれると舂米部(つきしねべ)が定められることがあった。律令国家の成立とともに官司での食料が多量に必要となると,〈年料舂米〉として定期的に政府に納入させた。…

【舂米】より

…古くはその作業は主として女性が臼と杵(竪杵(たてぎね))で行った。大和朝廷のもとで屯倉(みやけ)が置かれると舂米部(つきしねべ)が定められることがあった。律令国家の成立とともに官司での食料が多量に必要となると,〈年料舂米〉として定期的に政府に納入させた。…

【氷ノ山】より

…北西の赤倉山との間の鞍部は氷ノ山越と呼ば,古くから交通路に利用された。西麓の落折,舂米(つくよね)は平家の落人村と伝えられ,木地師が多かった。舂米にはスキー場や民宿がある。…

【大炊寮】より

…供御稲粟の舂備,諸国舂米(しようまい)の収納,雑穀の諸司分給,諸司食料の支給をつかさどる宮内省管轄の令制官司。職員は頭(かみ)・助(すけ)・允(じよう)・大属(さかん)・少属各1人,大炊部60人,使部20人,直丁2人,駈使丁30人。…

【官稲】より

…賦役令土毛条義解には官稲を分かって大税,籾穀,郡稲の3種としている。大税(正税(しようぜい))は,その一部を舂米(しようまい)として京に進納するほか,出挙して利息を得,それを国衙の臨時費に充当した。籾穀は,非常の救急に備える永年貯蓄用として不動倉に収納。…

※「舂米」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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