日本大百科全書(ニッポニカ) 「羅臼」の意味・わかりやすい解説
羅臼(町)
らうす
北海道東部、根室(ねむろ)振興局管内の町。知床半島(しれとこはんとう)の東半部を占める。町名はアイヌ語の「ラウシ」(低い所、または獣骨のある所の意)からの転訛(てんか)。1930年(昭和5)植別村(うえべつむら)が羅臼村に改称、1961年町制施行。国道334号、335号が通じる。知床峠を越えて半島西岸の斜里町ウトロへ通じる知床横断道路(国道334号の一部)は1980年の開通。平地に乏しく、主力産業は水産業。沿岸・沖合のイカ、スケトウダラ、ホッケ、サケ、コンブなどの水揚げがあり、水揚げ高は1980年代の年間190億円から1990年代の130億円程度にまで漸減した。栽培漁業への転換対策としてウニ種苗センターを建設。羅臼港は半島東岸の主要漁港である。町域の大部分は知床国立公園域で、世界自然遺産「知床」域にも含まれる。知床連山の羅臼岳や遠音別(おんねべつ)岳、知床峠、羅臼温泉、セセキ温泉、相泊(あいどまり)温泉などがあり、知床観光の基地として観光業が水産業の衰退を補っている。面積397.72平方キロメートル、人口4722(2020)。
[進藤賢一]
『『羅臼町史』(1971・羅臼町)』