出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道北東部、知床半島の北半部を占める国立公園。1964年(昭和39)指定。面積386.33平方キロメートル。火山と海食崖(がい)の雄大な原始景観が保たれ、わが国最後の秘境と称される。半島の中央部に噴出した火山群の山麓(さんろく)には、トドマツ、エゾマツの針葉樹、ミズナラ、ハンノキ、ダケカンバなどの広葉樹が繁茂し、また800メートル前後以上はハイマツ帯や高山植物帯となり、羅臼岳(らうすだけ)、硫黄山(いおうざん)のお花畑がよく知られる。羅臼岳山麓の溶岩台地には、羅臼湖、知床五湖などの火山堰止湖(せきとめこ)が点在する。海岸には海食崖が発達し、とくにそれはオホーツク海岸に著しく、100メートル以上の断崖が連続している。野生動物が多く、オジロワシ、オオワシ、シマフクロウ、ヒグマ、アザラシ、トドなどが生息し、多様な生態系を誇る。
1980年(昭和55)開通した知床横断道路(国道334号)は羅臼港とウトロ港とを結んで観光客数も著しく増加した。施設の整った岩尾別(いわおべつ)温泉、羅臼温泉のほか、セセキ、相泊(あいどまり)、カムイワッカなどに野天温泉がある。半島先端の知床岬方面の探勝はウトロ港からの観光船によっている。なお、2005年(平成17)知床国立公園域は、世界遺産の自然遺産「知床」として登録されている(世界自然遺産)。
[岡本次郎]
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