美人局(読み)ツツモタセ

デジタル大辞泉 「美人局」の意味・読み・例文・類語

つつ‐もたせ【美局】

夫婦または内縁男女共謀して、女が他の男と密通し、それを言いがかりとしてその男から金銭などをゆすり取ること。なれあい間男
[補説]もと博徒ばくとの語「筒持たせ」からきたものという。「美人局」の字は、中国の「武林旧事」游手にあるのを当てたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「美人局」の意味・読み・例文・類語

つつ‐もたせ【美人局】

〘名〙 (もと博徒(ばくと)の語で「筒持たせ」の意か)
① にせ物をつかませて、詐欺をすること。いんちきをすること。
塵芥集‐蔵方之掟(1533)「つつもたせ之儀有之者、蔵方之誤有間敷也、申かけたる輩を可御成敗事」
② 女が自分の夫や情夫と共謀して、他の男を姦通に誘い、あわや、というときに共謀の男があらわれて、それを種にその男から金銭などをゆすり取ること。なれあいまおとこ。
※信長公記(1598)一四「ならび蜂屋の郷に八と申す者、つつもたせを仕り、彼寺へ若き女をしたて、雨中日の暮に走りこませ」
[補注]「美人局」の文字は、中国の元の頃、娼妓妻妾と偽って少年などを欺いたことをいう、と「武林旧事」にあるのによったもの。

つつも【美人局】

〘名〙 「つつもたせ(美人局)」の略。
浄瑠璃三拾石艠始(1792)四「南無三さふいふ筒もとは夢にもしらず、既の事に縫之助、密夫悪名を請ふとした」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「美人局」の意味・わかりやすい解説

美人局
つつもたせ

男女が共謀して、女が他の男を誘惑したところへ男が現れて金銭を強要する行為、およびそれを行う者。初めは「筒もたせ」と書かれ博奕(ばくち)用語からの転用とみられるが、不詳。渡される金は慰謝料でなく示談金で、姦通(かんつう)が重罪であった時代の社会規範を利用した詐欺行為の一種だが、最近は恐喝(きょうかつ)罪に近いものが多い。ときに仲裁人を装う第三者の人物が加わることもある。

[原島陽一]

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