老妻物語(読み)ロウサイモノガタリ(その他表記)The Old Wives' Tale

デジタル大辞泉 「老妻物語」の意味・読み・例文・類語

ろうさいものがたり〔ラウサイものがたり〕【老妻物語】

《原題The Old Wives' Taleベネット長編小説。1908年刊。服地屋の姉妹の対照的な人生自然主義手法で描く。別邦題二人の女の物語」。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「老妻物語」の意味・わかりやすい解説

老妻物語
ろうさいものがたり
The Old Wives' Tale

イギリスの女流作家アーノルド・ベネットの小説。1908年刊。モーパッサンに対抗してイギリス版「女の一生」を書こうとして、イギリス北部の工業都市で呉服商を営む堅実な中産階級の家庭に生まれ育った2人娘の人生の移り変わりを、故郷の町の衰退を背景に描く。姉のコンスタンスは店の番頭と結婚して家業を継ぐが、夫に死なれ、息子に去られて、店を人手に渡すことになる。妹のソファイアは外交員と駆け落ちし、パリに出奔するが捨てられる。そこで下宿屋を開き、商店の娘の才覚で成功するが、体の衰えに勝てず故郷に戻る。生気に満ちた娘が人生の徒労のすえ、むなしく老いて死んでいくさまを描いて、作者の傑作とされている。

[安達美代子]

『小山東一訳『老妻物語』上中下(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「老妻物語」の意味・わかりやすい解説

老妻物語
ろうさいものがたり
The Old Wives' Tale

イギリスの小説家 A.ベネットの小説。 1908年刊。イギリスの田舎町の洋服屋の娘コンスタンスとソファイアの生涯の物語。姉コンスタンスはそのまま生家に定着し,番頭と結婚,家業を守りながら1児をもうけ,平凡な安定した生活をおくる。妹ソファイアは行商人と駆落ちして,フランスで捨てられるが,普仏戦争中のパリで下宿屋を営んで成功,一流ホテルの女主人となるという波乱のあと,故郷に帰り,姉と一緒に晩年をおくって,ともども静かな死を迎える。フランス自然主義文学の影響が著しくみられる,ベネットの代表作。

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