胆道がん(読み)たんどうがん

四訂版 病院で受ける検査がわかる本 「胆道がん」の解説

胆道がん

 胆管と胆のうをあわせて胆道と呼びます。胆道は肝臓でつくられた胆汁十二指腸まで運ぶ通路で、途中にある胆嚢に胆汁が蓄えられます。診断・治療ともに難しいがんのひとつですが、早期にみつかったものの治癒率は近年向上しています。

●おもな症状

 胆管がんでは、胆管が閉塞されることで黄疸おうだん腹痛、全身倦怠けんたい感、褐色尿などの症状が出ますが、それまではほとんど症状は出ません。胆嚢がんも早期では特別な症状はなく、進行すると上腹部痛が、さらに進むと黄疸、体重減少などが現れます。

①腹部超音波/腫瘍マーカー/血液検査

  ▼

②胆嚢胆管造影/MRCP/CT

  ▼

③逆行性(膵)胆管造影

超音波検査などでがんの発見が増加

 胆道がんの発症例は少なく、また以前は診断が難しかったのですが、近年では腹部超音波(→参照)や腹部CT(→参照)、MRMRCP参照)などの画像診断技術が進歩し、かなりわかるようになりました。とくに超音波は最初のスクリーニングふるい分け)として用いられ、がんのみつかる場合が増えています。CTでも似たような所見が得られます。

 血液検査では、γ-GT(→参照)やALP(→参照)、LAPなどの胆道系の酵素が異常になることがあります。腫瘍マーカー(→参照)は、CEA、CA19-9が用いられています。

各種の造影検査を状態によって選択

 次に、胆道の造影が行われます。胆嚢胆管造影(→参照)と逆行性膵胆管造影(→参照)があり、患者さんの状態によって選択されます。

 閉塞性の黄疸がある場合には、たまった胆汁を体外に出すことにより、黄疸の治療ができる胆管ドレナージ(PTCD、ENBD)を行うことがあります。その他、腫瘍部の細胞を採取するために胆道鏡と呼ばれる内視鏡を用いることもあります。

 また、周囲の血管へのがんの浸潤しんじゅんの様子や胆嚢動脈の拡張・狭窄きょうさくなどを調べるために腹部血管造影(→参照)を行うこともあります。

出典 法研「四訂版 病院で受ける検査がわかる本」四訂版 病院で受ける検査がわかる本について 情報

知恵蔵mini 「胆道がん」の解説

胆道がん

肝臓で作られる胆汁を十二指腸まで運ぶ管である胆道に発生するがんで、胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がんに分類される。症状は黄疸、発熱、胆汁中に含まれるピルビリンの尿からの排出、白色便など。エコー検査や超音波内視鏡検査、腹部CT、MRIなどで発見できる。胆道がんの罹患率、死亡率は、共に50歳台から増加する。日本は、世界的にみて発生頻度が高く、胆管がんでは男性が多く、胆嚢がんは女性に多いことが分かっている。胆道がんにいたるリスクファクターとしては、胆石、胆嚢炎などがあり、特に胆石は有症状者でのがんの発生は無症状者に比べて10倍となっている。胆道がんの死亡率は、年々増加しており、発生率は年齢に比例し高くなっている。公益財団法人がん研究会によると、一般的に病期診断で手術できる時期と診断された場合の5年生存率は10~30%くらい、手術できない時期と診断された場合の1年生存率は10~40%くらいという。1995年の罹患数が日本では2万3000人(男1万3500人、女9500人)であったのが、2025年には5万1000人(男3万1000人、女20000人)に増大することが推測されている。

(2014-9-5)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

家庭医学館 「胆道がん」の解説

たんどうがん【胆道がん】

 肝内胆管(かんないたんかん)、肝門部胆管(かんもんぶたんかん)、総胆管(そうたんかん)、胆嚢(たんのう)、胆嚢管を合わせて胆道といいます(図「胆嚢、胆管の部位の名称」)。
 肝細胞から分泌(ぶんぴつ)された胆汁(たんじゅう)は胆道を流れて胆嚢に一時蓄えられますが、卵や脂肪分の多い食物をとると胆嚢が収縮して、胆汁が十二指腸(じゅうにしちょう)へ排出されます。
 肝門部胆管と総胆管を肝外胆管(かんがいたんかん)といいます。肝門部胆管がんは、左右の肝管が合流する箇所にできるがん腫(しゅ)です。
 総胆管は上中下に分けられますから、総胆管にできたがんは、その部位によって、それぞれ上部・中部・下部胆管がんと呼ばれます。
 がん腫は胆道の内腔(ないくう)をおおう腺細胞(せんさいぼう)から発生します。95%以上が腺がんですが、腺扁平上皮(せんへんぺいじょうひ)がん、粘液産生胆管(ねんえきさんせいたんかん)がんが、まれにみられます。

出典 小学館家庭医学館について 情報