胆嚢炎(読み)たんのうえん(英語表記)cholecystitis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

胆嚢炎
たんのうえん
cholecystitis

主として十二指腸から総胆管胆嚢管を経て侵入する細菌や毒素によって起る胆嚢炎症肝臓部の鈍痛,ときには胆石発作のような激痛を感じ,微熱あるいは高低のある発熱があり,肝腫大圧痛上腹部の疼痛を認めることが多い。黄疸も現れることが多く,普通,白血球増加も認められる。十二指腸液検査によって胆汁欠乏,胆汁中の細菌と白血球が証明できる。安静,鎮痛剤,抗生物質などによって治療するが,重症の場合は外科手術が必要なこともある。

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百科事典マイペディアの解説

胆嚢炎【たんのうえん】

細菌感染による胆嚢の炎症。右肋骨の下部に痛みを訴え,発熱・黄疸(おうだん)を伴う。大腸菌,ブドウ球菌,連鎖球菌などが腸から胆管を上行,または血行性に感染したもので,胆管炎を併発することが多く,胆石胆汁の鬱滞(うったい)があると起こりやすい。治療は抗生物質や利胆薬の投与,十二指腸ゾンデによる胆汁排泄(はいせつ)促進など。
→関連項目胆管炎無酸症

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知恵蔵miniの解説

胆嚢炎

脂肪を分解する胆汁を分泌する臓器「胆嚢」(たんのう)に発生する炎症のこと。経過によって、急性胆嚢炎と慢性胆嚢炎に分けられる。急性胆嚢炎の95%以上は、胆嚢管に胆石(胆汁が固まった石状のもの)が詰まり数時間で発症する結石性胆嚢炎であり、胆石症の合併症と位置づけられる。それ以外の急性胆嚢炎は無石胆嚢炎と呼ばれる。症状は、上腹部痛・右肋骨下の痛み・発熱・悪心・嘔吐などで、進行して壊疽(えそ)性胆嚢炎・穿孔(せんこう)・肝膿瘍腹膜炎・敗血症など重症化する場合もある。治療法は、絶食・点滴・鎮痛剤や抗菌薬の投与などであり、胆嚢摘出などの手術が行われることもある。慢性胆嚢炎の場合、症状はほとんどないか軽いが、進行すると胆嚢癌となることもある。

(2014-5-26)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

胆嚢炎
たんのうえん
cholecystitis

胆嚢の炎症で、胆石の物理的刺激、胆汁うっ滞により起こる細菌感染、膵液の逆流などが病因と考えられる。感染の経路には、上行性、血行性およびリンパ行性があり、大腸菌がもっとも多く、ブドウ球菌、レンサ球菌(連鎖球菌)がみられる。大部分は胆石を合併しているが、胆石を伴わない無石胆嚢炎もまれにある。急性と慢性に分けられる。
 急性胆嚢炎は、ほとんどが胆石を有する患者に突然発症し、発熱、悪寒(おかん)、戦慄とともに右季肋(きろく)部(右側の最下方にある肋骨(ろっこつ)部)痛を訴え、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)などもしばしば伴う。黄疸(おうだん)はあっても軽度で、白血球増加、腹部超音波検査で緊満腫大した胆嚢と肥厚した胆嚢壁を認め、胆嚢内部には膿性分泌物を描出したデブリーdebrisがみられる。治療は抗生物質を投与する。超音波検査で改善所見が認められないときには経皮経肝胆嚢ドレナージで排膿する。胆嚢蓄膿や穿孔(せんこう)の危険が予想される場合は、すみやかに胆嚢摘出手術を行う。慢性胆嚢炎は、胆石を有する患者に発症し、急性胆嚢炎に引き続いて起こるもの、最初から慢性に経過する場合がある。症状は右季肋部の不快感や微熱を訴え、しばしば胆石を伴う疼痛(とうつう)を訴える。治療は胆嚢摘出術を行う。[中山和道]

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