胎児情報(読み)たいじじょうほう(その他表記)fetal information

日本大百科全書(ニッポニカ) 「胎児情報」の意味・わかりやすい解説

胎児情報
たいじじょうほう
fetal information

子宮の中にいる胎児が順調に発育しているか、低酸素症などのストレスにさらされていないか、なにか特殊な疾患に冒されていないかを出生前より知る目的で、種々の方法により得られる胎児の情報をいう。胎児心拍モニターの変化により、児が分娩(ぶんべん)に耐えられるほど元気かどうかを検査する方法はすでに1940年代から実施されており、新生児仮死がこれにより著明に減少している。母体腹壁を経て穿刺(せんし)することにより得られる羊水検査の情報としては、羊水中に保有する胎児の細胞を培養して染色体分析を行うことにより染色体異常による疾患が、またアミノ酸などの代謝系の酵素分析を行うことによりフェニルケトン尿症など多くの先天性代謝異常症が、それぞれ出生前に診断されうる。さらに羊水中の肺界面活性物質を測定することにより胎児の肺の成熟度が測定され、出生後新生児が呼吸疾患に陥るかどうかを知ることができる。またRh式血液型不適合の症例では、羊水中のビリルビン濃度から胎児輸血の必要があるかどうかを知ることができる。超音波検査からは、胎児の発育状態ならびに形態異常などをきわめて高い精度で診断できる情報が得られる。

 このように現代周産期学では、出生前よりきわめて多くの疾患が診断できるばかりでなくその治療一部では可能であり、すでに胎内にいる段階から医療が始められている。

[仁志田博司]

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