能登国分寺跡(読み)のとこくぶんじあと

日本歴史地名大系 「能登国分寺跡」の解説

能登国分寺跡
のとこくぶんじあと

[現在地名]七尾市国分町・古府町

国分こくぶ町の南東端から古府ふるこ町にかけての沖積地に所在し、能登国分寺跡(付建物群跡)として国の史跡に指定。寺域は南北方向にやや長い二町四方(南北約二〇九メートル・東西約一八四メートル)、南から北に向かって右側に塔、左側に金堂を配し、正面に講堂を置く法起寺式伽藍配置によっている。本格的な学術発掘は昭和四五年(一九七〇)以降ほぼ一〇次にわたって行われており、塔・金堂・講堂・南門・回廊・塀および寺域外に所在する倉庫群や掘立柱建物跡を検出している。おもな出土品には瓦片・須恵器土師器瓦塔仏・製塩土器・和同開珎や、「上日郷戸主舟木浄足戸□□(西カ)」と記された木簡がある。当寺は大興寺を転用したもので、大興寺の創建は八世紀初頭頃と推定されている(「史跡能登国分寺跡―第五・六・七次発掘調査報告書」七尾市教育委員会・一九八九年)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「能登国分寺跡」の解説

のとこくぶんじあと【能登国分寺跡】


石川県七尾市国分町・古府町にある古代寺院跡。指定名称は「能登国分寺跡 附建物群跡(つけたりたてものぐんあと)」。市街地の南方郊外の水田地帯に立地し、寺域は南北約209m、東西約184m、南門、掘立柱塀跡、塔、金堂、講堂、回廊と寺域外でも建物跡が検出されている。伽藍(がらん)は金堂を西に置く法起寺(ほっきじ)式であり、古代の寺院跡として重要なことから1974年(昭和49)に国の史跡に指定された。能登国分寺は、843年(承和10)に能登郡の定額寺(じょうがくじ)であった大興寺(だいこうじ)を国分寺としたもので、大興寺の創建は8世紀前葉ごろで、能登氏の氏寺として建立されたと考えられる。現在、南門と塀の実物大復元、塔、金堂、講堂の跡などの遺構の復元、能登国分寺展示館の建設などが行われ、能登国分寺公園として整備されている。JR七尾線七尾駅から車で約7分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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