腰掛茶屋(読み)コシカケヂャヤ

デジタル大辞泉 「腰掛茶屋」の意味・読み・例文・類語

こしかけ‐ぢゃや【腰掛(け)茶屋】

掛け茶屋」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「腰掛茶屋」の意味・読み・例文・類語

こしかけ‐ぢゃや【腰掛茶屋】

〘名〙
路傍社寺境内などに葭簀(よしず)張りの小屋がけした粗末な茶屋縁台腰掛を置いて、通行人を休ませ、湯茶を供する。掛茶屋
浮世草子・好色盛衰記(1688)五「腰掛茶(コシカケチャ)屋の口鼻(かか)が、はじめよりの事とも聞耳立て」
② 江戸時代、奉行所の腰掛②で、茶屋を営んだもの。裁判のため、腰掛で待つ訴訟人などに、湯茶、敷物草履筆紙などを売ることを認められ、その代わり奉行所や腰掛の掃除をし、また、雑用をも引き受けた。〔随筆親子草(1797頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「腰掛茶屋」の意味・わかりやすい解説

腰掛茶屋 (こしかけぢゃや)

江戸時代,評定所や町奉行所,勘定奉行所などに出廷する庶民の控所である〈腰掛(腰懸)〉において営まれた茶屋。訴訟当事者や差添(さしぞえ)の町村役人,公事宿くじやど)などは奉行所に出頭した旨を届けると,門前に設けられた腰掛(南町奉行所のものは94坪(約310m2)の広さがあった)で白洲(しらす)(法廷)への呼込みを待ったが,その間,必要な書面をしたため,内済(ないさい)(和解)の交渉をすることもあり,ここで食事をとることも許されていた。腰掛茶屋はこれらの者に湯茶,弁当,敷物,草履,筆紙などを売ることを業とした株営業であって,その冥加(みようが)として奉行所の土間や腰掛付近の清掃,草取りをするほか,出火駆付の義務を負い,また白洲への呼込みを取り次いだり,差紙(さしがみ)(召喚状)を公事宿に届ける使いをするなど,奉行所の雑用にも従事した。腰掛で酒肴を用いることや公事見舞は禁止されていたが十分には徹底せず,また茶代や敷物代を強請する茶屋もあったが,町奉行所の腰掛茶代等については1791年(寛政3)以後官費で支弁されることになった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android