家庭医学館 「膀胱周囲炎」の解説
ぼうこうしゅういえん【膀胱周囲炎 Pericystitis】
虫垂(ちゅうすい)(俗にいう盲腸(もうちょう))、腸、尿膜管(にょうまくかん)、女性では子宮(しきゅう)、卵管(らんかん)、卵巣(らんそう)など、膀胱のまわりの臓器の炎症が、膀胱におよんだ状態をいいます。
ときに、手術に使った糸が炎症の原因となることもあります。
膀胱周囲の結合組織に炎症がおこり、膿瘍(のうよう)(膿(うみ)のかたまり)をつくることがしばしばです。
[症状]
膀胱周囲炎になると、頻尿(ひんにょう)、排尿時(はいにょうじ)の痛み、尿の混濁などの膀胱炎症状のほかに、下腹部の圧痛、疼痛(とうつう)、熱感などがあり、膀胱に尿がたまって拡張すると、疼痛ははげしくなります。
全身状態としては発熱、食欲不振がみられます。
[検査と診断]
検査では双手診(そうしゅしん)が行なわれます。これは、男性は直腸内、女性は腟内に手指を入れ、もう片方の手指で腹壁(ふくへき)を恥骨(ちこつ)の下にむかって押しこむようにして、両手指間の状態を触診するものです。
そのほかに、膀胱鏡、膀胱造影、超音波エコー、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像装置)による検査などが診断に役立ちます。
膀胱鏡でみると、初期には膀胱壁の隆起くらいで、ときに赤くなったり(発赤(ほっせき))、むくみ(浮腫(ふしゅ))がみられる程度です。
膿瘍が膀胱内につぶれると排膿(はいのう)がみられ、また、膀胱壁に孔(あな)(瘻孔(ろうこう))があいているのがみられます。
[治療]
薬物を使用した化学療法が中心ですが、場合によっては、膿瘍を切って、膿を出す手術が必要となることもあります。