六訂版 家庭医学大全科 「臀部慢性膿皮症」の解説
臀部慢性膿皮症(慢性化膿性汗腺炎)
でんぶまんせいのうひしょう(まんせいかのうせいかんせんえん)
Chronic perianal pyoderma (Chronic hidradenitis suppurativa)
(直腸・肛門の病気)
どんな病気か
思春期以降の男性の肛門周囲または臀部の皮下
かつては慢性化膿性汗腺炎とも呼ばれていて、本症の64%に
原因は何か
ブドウ球菌、
皮膚の感染部位により、
症状の現れ方
座った時に皮膚感染巣に圧迫が加わり、周囲への進展→切開排膿による鎮静化→再感染で拡大というパターンが繰り返されて進行します。まれに、有棘(ゆうきょく)細胞がんや
検査と診断
視診では、肛門から臀部にかけて凹凸を伴うしこり、痔瘻のような排膿口、黒ずんだ色素沈着、
病変は片側例と両側例がほぼ同数あり、
治療の方法
治療の原則は外科的切除で、臀筋筋膜のレベルで、一見正常に見える部位の皮下膿瘍も見逃さないように病変部を切除します。痔瘻が併存していたら同時に治します。
①切除縫合法
病変部の皮膚を切除し、単純に縫合します。比較的軽症で病変の小さなものに適しています。
②くり抜き法(図21b、21c)
瘻孔の開口部や硬い部分の皮膚を円形にくり抜き、皮下組織まで達します。この繰り返しをたくさん行うことで、臀筋と皮膚に囲まれた病変がひと塊で切除されます。温存された皮膚はメッシュ状に残ります。切除範囲にもよりますが、およそ1~2カ月で完治します。
③切除・皮膚移植・皮弁による再建
病変部を臀筋まで完全に切除して、同時に皮膚移植する方法です。
病気に気づいたらどうする
この病気は、初期に見つけて切除すれば極めて簡単に治療できます。肛門周囲の皮膚から分泌物が出たり、しこりを見つけたら、早めに肛門専門医にかかってください。
松田 保秀
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報