臨海実験所(読み)リンカイジッケンショ

百科事典マイペディアの解説

臨海実験所【りんかいじっけんじょ】

海洋学や海産生物の研究のために海の近くに設けられた実験所。普通の生物実験室設備のほか,海水の水道,飼育水槽,採集器具,採集船などを備える。日本では神奈川県三浦市にある東大付属の実験所が最も古く(1887年設立),外国ではイタリアのナポリ,米国マサチューセッツ州のウッズホールのものが有名。なお湖沼の研究を目的としたものは臨湖実験所と呼び,滋賀県大津市にある実験所が一例。

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世界大百科事典 第2版の解説

りんかいじっけんじょ【臨海実験所 marine biological station】

主として海洋生物学の実験的,生態学的研究のために海岸に設置された研究所。この種の研究所として最も歴史の古いものは,ラカズ・デュティエH.de Lacaze‐Duthiers(1821‐1901)が1872年にパリ大学に作ったロスコフ臨海実験所Laboratoire maritime de Roscoffと,ドイツ人ドールンA.D.Dohrn(1840‐1909)が73年に私費を投じてナポリに設立したナポリ臨海実験所Stazione zoologica di Napoliである。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

臨海実験所
りんかいじっけんしょ
marine biological laboratory

海岸に設置され、海洋および海産生物に関する教育、研究を行う施設をいう。世界最古の臨海実験所は1872年に創設されたフランスのロスコフ実験所、ついでイタリアのナポリ実験所(1874)である。ともに現在でも第一線の研究機関として活動しており、とくに後者は国際共同利用の実験所として著名である。このほか外国のおもな臨海実験所には、イギリスのプリマス、ドイツのヘルゴラント、アメリカのウッズ・ホールなどがある。日本では1886年(明治19)に初めて東京大学の三崎臨海実験所が、続いて1920年代に京都大学の瀬戸、東北大学の浅虫、九州大学の天草の各臨海実験所が設立され、海洋生物学研究の先駆となった。
 臨海実験所での研究内容は、海産生物を対象または材料とする点で共通しているが、分類学、生態学、発生学、生理学、生化学など、多岐にわたり、各実験所それぞれに特徴がある。また研究対象となる実験所周辺の生物相も、亜寒帯性の北海道から熱帯性の沖縄まで、著しく変化に富んでいる。したがって臨海実習の内容も、海洋生物学の手ほどきを目的とする初級コースを除けば、各大学によりかなり異なり、他大学の学生も受講できる公開臨海実習の制度が設けられている。他の研究機関や外国からの研究者による共同利用も盛んで、それらの来訪研究者に対するサービスも、臨海実験所のおもな業務の一つになっている。
 日本の臨海実験所のほとんどは国立大学に所属し、前記4か所のほかに、北海道大学の厚岸(あっけし)、筑波(つくば)大学の下田(しもだ)、新潟大学の佐渡、名古屋大学の菅島(すがしま)、岡山大学の牛窓(うしまど)、広島大学の向島(むかいしま)、高知大学の宇佐(うさ)、琉球(りゅうきゅう)大学の瀬底(せそこ)などがある。[荒賀忠一]

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