メチニコフ(読み)めちにこふ(英語表記)Илья Ильич Мечников/Il'ya Il'ich Mechnikov

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メチニコフ」の意味・わかりやすい解説

メチニコフ
めちにこふ
Илья Ильич Мечников/Il'ya Il'ich Mechnikov
(1845―1916)

ロシア生まれの動物学者。ハリコフ(ハルキウ)大学卒業。ドイツのギーセンゲッティンゲン大学に留学。1865年学位を取得、ノボロシア大学(現、オデーサ大学)講師を経て、1868~1870年ペテルブルグ大学教授、その後ノボロシア大学教授。1882年辞職してイタリアのシチリア島海洋生物を研究したが、その際、白血球の食菌現象を発見、これは白血球が細菌を取り込み消化する生体防御機能であると説明、免疫学の原点を画した。1886年パスツールの狂犬病予防ワクチン療法の普及のためオデッサ細菌研究所長に就任。1888年パリのパスツール研究所に移り、自然免疫の理論などを研究。ルーとの共同による梅毒病原のサルへの接種は梅毒動物実験の最初の報告として有名。1889~1916年パリのパスツール研究所長。1908年ドイツのエールリヒとともに、免疫に関する研究業績によりノーベル医学生理学賞を受賞。

藤野恒三郎

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メチニコフ」の意味・わかりやすい解説

メチニコフ
Mechnikov, Il'ya(Metchnikoff, Élie)

[生]1845.5.15. ハリコフ,イワノフカ
[没]1916.7.16. パリ
ロシアの微生物学者。 1864年ハリコフ大学卒業。ペテルブルグとオデッサ両大学の動物学講師,70年オデッサ大学動物学と比較解剖学教授。 82年イタリアのメッシーナで微生物の研究を始め,食作用をする細胞をヒトデで発見し,これを食細胞と名づけた。 86年から1年間オデッサの微生物研究所所長となり,88年にはパリで L.パスツールとの共同研究に入った。 92年までに食細胞の研究をまとめ,ヒトを含むほとんどの動物が急性感染を起したとき,最初に現れる防御反応が食作用であることを明らかにし,1901年に主著『感染病の免疫』L'immunité dans les maladies infectieusesを出した。免疫の研究 (食細胞の役割の発見) で P.エールリヒとともに 08年のノーベル生理学・医学賞を受けた。晩年には腸内細菌と長寿との関係に注目。乳酸産生菌の研究に余生を捧げた。

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