自利利他(読み)ジリリタ

デジタル大辞泉 「自利利他」の意味・読み・例文・類語

じり‐りた【自利利他】

仏語自らの悟りのために修行し努力することと、他の人の救済のために尽くすこと。この二つを共に完全に行うことを大乗理想とする。自益益他。自行化他。自他

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精選版 日本国語大辞典 「自利利他」の意味・読み・例文・類語

じり‐りた【自利利他】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。自利利他。自利とは、自己の修行により得た功徳自分だけが受けとることをいい、利他とは、自己の利益のためでなく、他の人々の救済のために尽くすことをいう。この両者を完全に両立させた状態に至ることを、大乗仏教の理想とする。
    1. [初出の実例]「自利々他心平等 是則名真供養仏と侍れば、たれたれもこの心をまもり給へと也」(出典:撰集抄(1250頃)七)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「自利利他」の意味・わかりやすい解説

自利・利他
じりりた

仏教用語。自益益他(じやくやくた)、自利利人(じりりにん)、自行化他(じぎょうけた)と同意。自利とは、自らを利する意で、自己の解脱(げだつ)のために努力し修行すること。利他とは、他の人々の利益(りやく)を図る意で、人々の救済のために尽力すること。大乗仏教では、この自利・利他がともに完全に行われることを理想とした。また利他のために自らの人格を完成することを目ざした。

坂部 明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自利利他」の意味・わかりやすい解説

自利・利他
じり・りた

仏教の修行者や求道者がみずから修行を積んで自身がその結果を得るものを自利といい,もっぱら部派仏教の修行者の場合をいう。これに対し,生きとし生けるものの救済のために実践するのを利他といい,自利と利他との完全な調和に大乗仏教の目的がある。

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