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自動車リサイクル法 じどうしゃリサイクルほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

自動車リサイクル法
じどうしゃリサイクルほう

平成14年法律87号。自動車メーカーおよび関連事業者に廃車資源の再利用を義務づける法律。正式名称「使用済自動車の再資源化等に関する法律」。2004年4月施行。特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)同様,リサイクル費用の消費者負担原則に立脚し,消費者が新車購入時に一定額を支払う。資源の有効利用,廃棄物発生の抑制,環境保護などの観点から,先進各国でリサイクルに関する法律が施行されるなか,日本でも 1991年に再生資源の利用の促進に関する法律が施行され,自動車メーカーのリサイクルに関する取り組みが始まった。

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知恵蔵の解説

自動車リサイクル法

2002年7月に制定され、05年1月完全施行。正式名称は、「使用済み自動車の再資源化等に関する法律」。自動車の保有台数は7000万台を超え、年間400万台が廃棄。車の破砕くず(シュレッダーダスト)は、ガラスや金属くず、繊維、ウレタンなどさまざまな素材が混ざり、水銀、鉛などの有害物質を含み、香川県・豊島(てしま)の不法投棄事件にみるように深刻な環境汚染の原因となっていた。法は、エアコンに使うフロンガスエアバッグ、破砕くずの3品目の回収と適正処理を自動車メーカーや輸入業者に義務付けた。リサイクル費用は05年1月以降は新車の購入時にリサイクル費用を払い、それ以前に買った車は廃棄時か次の車検時に払う。金額はメーカーごとの車種や型式によって違い、約7000円から約1万8000円の基本料にデータ処理するための情報・資金管理料が加算され、メーカーで作る自動車リサイクル促進センターが管理する。05年度の廃自動車の引き取り台数は約305万台。

(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2007年)

自動車リサイクル法

使用済み自動車(廃車)から出る部品を回収してリサイクルもしくは適正に処分することを、自動車メーカーや輸入業者に義務づけた法律。2005年1月から施行された。対象となるのはエアコンに使われるフロン、車体を粉砕した後に残る破砕屑、エアバッグの3種類である。リサイクルに必要な費用は自動車の所有者が負担する。負担金額は、メーカー、車種、エアバッグ等の装備によって異なるが、一般車両で1台当たり7000〜1万8000円程度。費用は所有者の不法投棄を避けるために、新車の購入時に支払う。また、制度施行時の既販車は最初の車検時に、車検を受ける前に使用済みとなる自動車は、引き取り業者への引き渡し時に支払う。支払い時に発行されるリサイクル券(支払い証明書)は所有車に添付しなければならず、これがない場合には解体業者が引き取れない。なお、使用済み自動車から再利用部品などの取り外しを行うためには、個人で行う場合でも、都道府県知事等から解体業の許可を受けることが必要となる。

(大鹿隆 東京大学ものづくり経営研究センター特任教授 / 藤本隆宏 東京大学大学院教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

自動車リサイクル法

05年1月1日施行。自動車所有者は廃車のリサイクル料金を、購入時や車検時に払う。料金にはエアバッグやエアコン用フロンガス、最後に残った部品を破砕したごみ(シュレッダーダスト)の解体・リサイクル費用が含まれ、普通乗用車なら1万〜1万8千円程度。引き取り業者や解体業者には、引き取り時や引き渡し時の報告義務がある。財団法人・自動車リサイクル促進センターが料金を管理し、事業者からの報告も受ける。

(2006-01-16 朝日新聞 朝刊 1経済)

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デジタル大辞泉の解説

じどうしゃリサイクル‐ほう〔‐ハフ〕【自動車リサイクル法】

《「使用済自動車の再資源化等に関する法律」の通称》自動車の廃車時における適正処理と資源の有効利用、関係者の責務などについて定めた法律。循環型社会形成のため、廃棄物の減量、不法投棄防止、環境の保全を図る目的で成立。自動車製造会社や輸入・販売・解体などの関連事業者の役割と義務を規定しており、車の所有者にもリサイクル費用の支払いが義務づけられた。平成14年(2002)成立。段階的に施行され、平成17年(2005)に完全施行。→循環型社会形成推進基本法

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百科事典マイペディアの解説

自動車リサイクル法【じどうしゃリサイクルほう】

〈使用済み自動車の再資源化等に関する法律〉の略称。2002年公布,2005年1月完全施行。破砕くず,エアコンのフロン,エアバッグの3品目の引取りと適正な処理をメーカーや輸入業者に義務づけ,ユーザーは新車購入時にリサイクル料金を自動車リサイクル促進センターに預託してリサイクル券を受け取る。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

自動車リサイクル法
じどうしゃりさいくるほう

自動車の廃車時における適正処理と再資源化を推進し、環境の保全を図り、循環型社会をつくることを目的として、2002年(平成14)に公布された法律の通称。正式名称は「使用済自動車の再資源化等に関する法律」(平成14年法律第87号)。使用済自動車のリサイクルと適正処理において、自動車メーカーや、輸入、販売、解体などの関連事業者の役割と義務を定め、また消費者にもリサイクル費用の支払いを義務づけ、廃棄物の削減、資源の有効利用、不法投棄の防止を促すことで、環境保全をよりいっそう進めようとするものである。経済産業相の諮問機関である産業構造審議会が2001年6月に基本方針を決定、2002年の通常国会に「自動車リサイクル法案」として提出し、同年7月に成立した。段階的に施行され、2005年1月に完全施行となった。
 本法において、とくに重要な点は、従来のリサイクルシステムで問題となっていたシュレッダーダスト(自動車粉砕くず)、フロン類、エアバッグ類、という3品目について、新たなリサイクル対応と適正処理を定めていることである。シュレッダーダストはそれまで埋立て処分されてきたが、近年の最終処分場残余地の逼迫(ひっぱく)から処理費用が高騰するなどして不法投棄が多発していた。また地球温暖化に影響するフロン類は、2001年公布の「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン回収・破壊法)」(2013年「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」に改称)により回収・破壊処理が義務づけられ、さらにエアバッグ類は専門的な処理が必要となっていた。
 本法の施行後は、リサイクル料金の預託制度により使用済自動車の処理時に余分な費用を徴収されることがなくなったため、不適正な処理が減ることが期待される。また、電子マニフェスト制度が導入され、使用済自動車が1台ずつ一貫して管理されるため、不法投棄の減少が期待される。電子マニフェスト制度とは、電子システムによる情報管理制度で、電子画面上でマニフェスト(管理票)を作成し、各段階の各事業者に使用済自動車の移動・処理の報告を義務づけ、適正に処理されているかどうかを電子ネットワーク上で確認できる。リサイクル料金と電子マニフェストの管理は、「公益財団法人自動車リサイクル促進センター」(経済産業省、国土交通省、環境省共管)が行う。[田中 勝]

法律制定の背景

環境省の資料によると、2003年(平成15)3月時における「不法投棄等又は違法な保管状態にある使用済自動車の台数」は16万8806台、そのうち保管基準違反(野積み等)が12万2779台(全体の73%)、不法投棄・路上放置が4万6027台(27%)となっていた。回収および適切な処理をせずに放置された多くの自動車が、鉛や廃油、廃液などの有害物質とともにわれわれの生活環境に大きな影響を及ぼすことが懸念される。また、近年、産業廃棄物の最終処分場の残余地は逼迫しており、最終処分費が高騰し逆有償化現象が起きている。逆有償とは、資源ごみの需要に対して供給量が過剰となり、回収物が売却できず、引き取り料を支払うという現象である。それを嫌う所有者や負担を逃れる業者等による不法投棄が多発し、大きな社会問題、環境問題となっていた。[田中 勝]

自動車リサイクル法の概要

自動車メーカーなど関係事業者には適正な役割と義務を担ってもらうこと、自動車の所有者にも意識をもって適正に処理の手続をしてもらうことが、環境問題改善の糸口となる。所有者側は、新車購入時にリサイクル料金を自動車リサイクル促進センターに支払うことで預託、料金は同センターが管理する。リサイクル料金を支払うと、その証明書としてリサイクル券が発行され、所有者はこの券を保管しておく。リサイクル料金は、シュレッダーダスト、エアバッグ類のリサイクル、フロン類の破壊・処理費用に使われ、これらの作業は自動車メーカー側が行う。
 リサイクル料金は、2005年(平成17)1月以降に販売された車を購入した場合には購入時に、それ以前に購入した場合には1回目の車検時に、所有者が支払う。また、以前に購入した車を2005年1月以降車検を受けずに廃車にする場合は、廃車時にリサイクル料金を支払う。リサイクル料金は一律ではなく、車種、重量、装備などにより1台ごとに異なる。具体的な金額は、各自動車メーカー、関係各社が設定したものを公表している。
 廃車時のおおまかな流れは以下のようになる。
(1)所有者が、使用済自動車とリサイクル券を、引き取り業者(販売店、整備事業者等)に渡し、引き取り証明書の交付を受ける。
(2)引き取り業者は、シュレッダーダスト、フロン類、エアバッグ類の3品目とリサイクル券を、国内自動車メーカーや輸入業者、フロン類回収業者、解体業者などに引き渡す。
(3)自動車メーカー等の関係事業者は回収、適正処理を行った後、自動車リサイクル促進センターから預託金の払い戻しを受ける。
 また、廃車時の適正な処理とは、具体的には、(1)フロン類、エアバッグ類を回収し、フロン類は破壊、エアバッグ類は再資源化すること、(2)処理しなければ有害となるタイヤ、バッテリー、廃油、ガソリンまたは軽油、プロパンガス、蛍光灯を取り外すこと、(3)その他まだ自動車のリサイクル部品として再利用できるエンジンなどの部品を取り外すこと、(4)部品などが取り除かれた自動車ガラは破砕業者によって破砕される、といったことを意味する。
 このように、使用済自動車が回収、適正処理され、リサイクル率が上がることにより、最終埋立て処分量が極小化され、不法投棄が防止され、環境保全が図られることになる。[田中 勝]

循環型社会への流れ

2009年(平成21)時点で、国内では年間約360万台が廃車になっていたが、本法の施行により、自動車のリサイクル率を、2015年には95%へと高めようといった具体的な目標が設定された。この目標は2008年には前倒しでほぼ達成された。
 自動車リサイクル法は、循環型社会構築に向けて、リサイクル関連法制度の整備が進められる流れのなかで整備されたものであり、本法に先行するリサイクル法としては、容器包装リサイクル法(1995年公布)、家電リサイクル法(1998年公布)などがある。この循環型社会への流れはさらに促進されるとみられ、資源の再利用も含めて中古部品の活用や金属素材の回収をより有効に進めるためには、リサイクルしやすい自動車の設計・開発が必要となり、また自動車関係事業者、消費者への啓発、理解促進活動が欠かせない。[田中 勝]

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