臼杵市(読み)ウスキシ

デジタル大辞泉 「臼杵市」の意味・読み・例文・類語

うすき‐し【臼杵市】

臼杵

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日本歴史地名大系 「臼杵市」の解説

臼杵市
うすきし

面積:一五一・八一平方キロ

県の南東部に位置し、東は豊後水道に面した臼杵湾が開け、西は臼杵川・大野川両水系の分水嶺を境に大野郡野津のつ町・大分市、南はひめ(六一九・九メートル)鎮南ちんなん(五三六・四メートル)から北東に臼津きゆうしん半島へ延びる尾根を境に津久見市、北は樅木もみのき(四八四メートル)から九六位くろくい(四五一・七メートル)へと続く佐賀関さがのせき山地を介して北海部郡佐賀関町・大分市と接する。西の分水嶺から東流する臼杵川・末広すえひろ川・熊崎くまさき川は臼杵湾に流入する手前で三角洲を形成し、その一帯に市街地が展開する。全体として平野部は少ない。九六位山中を水源とする末広川は江無田えむた川・玉屋たまや川ともよばれ(豊後国志)、支流になかかわ川がある。江戸時代には流路沿いを臼杵・府内城路が通り、九六位山を越え府内へ通じていた。また鎮南山の山腹を水源として南から北に海添かいぞえ川が貫流、市街地を経て臼杵湾に流入する。支流にたたら川がある。臼杵の地名は治承四年(一一八〇)五月一一日の皇嘉門院惣処分状(九条家文書)に「うすきへつき」とあるのが早い例である。

〔原始・古代〕

末広に縄文時代早期の小六ころく洞穴遺跡があり、吉小野よしおのの台地面には旧石器・縄文時代の複合遺跡である東台とうだい遺跡がある。戸室とむろの平坦な台地上に展開する戸室台とむろだい遺跡は縄文―弥生時代および室町時代の遺跡。熊崎川・臼杵川両岸などの台地上には弥生時代の田篠台たしのだい井村いむら三重野みよの家野いえの掻懐かきだき下中尾しもなかおなどの各遺跡がある。井村の坊主山ぼうずやま遺跡、諏訪の仲山すわのなかやま遺跡ではともに弥生時代の青銅器が出土した。熊崎川流域には古代海部郡の中核をなしたと思われる首長の古墳群が大小一〇基残されている。臼杵神社境内の臼塚うすづか古墳(全長八七メートル)舟形石棺舶載鏡などが副葬されており五世紀中頃の築造。また北西から臼杵湾を見張る位置にある下山しもやま古墳は五世紀後半の築造で、家形石棺に多量の鉄が副葬されていた。ともに市域を代表する前方後円墳で、ヤマト王権との結び付きを明示するものである。なお臼塚古墳の傍らには臼と杵と称される二基の石製短甲があり、下山古墳にも一基残る。神下山かみしもやま丸山まるやま鏡塚かがみづか田崎たさき高倉たかくらの各古墳はいずれも小円墳。ほかに芝尾崎しばおざき・諏訪・末広横穴墓がやはり熊崎川周辺に位置する。臼杵湾上のくろ島にも二基の小円墳がある。

古代は「和名抄」に記載される海部郡丹生にゆう郷に属し、丹生島にゆうじまの字名を残す臼杵城跡はその遺称地とみられる。「延喜式」にみえる丹生駅を「太宰管内志」は現在の臼杵市街地付近に比定しているが、大野川下流左岸の大分市松岡まつおか付近とするのが妥当であろう(大分市史)


臼杵市
うすきし

2005年1月1日:臼杵市と大野郡野津町が合併
【臼杵市】大分県
【野津町】大分県:大野郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「臼杵市」の意味・わかりやすい解説

臼杵〔市〕
うすき

大分県南東部,豊後水道西側の臼杵湾に臨む市。市域のほぼ中央部を臼杵川が北東に流れ,臼杵湾に注ぐ。 1950年白杵町と海辺村が合体して市制。 1954年佐志生村,下ノ江村,下北津留村,上北津留村,南津留村の5村を編入。 2005年野津町と合体。中心市街地の臼杵は,永禄5 (1562) 年に大友宗麟が丹生島 (現臼杵公園) に城を築き,府内 (現大分市) から移って以後,その城下町,海外文化吸収の先進地として発達。慶長5 (1600) 年以後は稲葉氏5万石余の城下町として幕末にいたった。市域南西部の野津川沿いの谷底平野では米作と,野菜,タバコ栽培,畜産が行なわれる。伝統的な味噌,醤油,清酒,およびウイスキーの醸造・蒸留業のほか,造船業,たばこ製造業などが行なわれる。深田の臼杵石仏は,おもに藤原時代につくられた磨崖仏群で,秀作が多く,1952年国の特別史跡に,1995年国宝に指定された。ほかに史跡の下山古墳,国指定天然記念物の風連鍾乳洞などがある。 JR日豊本線,国道 217号線,502号線が通る。臼杵港からは八幡浜へのフェリーが発着する。面積 291.20km2。人口 3万6158(2020)。

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