大分県臼杵市の中尾(なかお)、深田(ふかた)、前田(まえだ)の3地区に所在する平安時代末から室町時代にかけての石仏群。1952年(昭和27)国の特別史跡に指定された。指定名称は「臼杵磨崖仏(まがいぶつ)」。このうち中尾・深田地区の石仏群は、ホキ第1群(堂ヶ迫(どうがさこ))、ホキ第2群、山王山、古園(ふるぞの)、木原、観音の6群からなり、磨崖仏(摩崖仏とも書く)など60余躯(く)がある。前田地区には、1群のみ7躯の磨崖仏がある。
磨崖仏は、凝灰岩の斜面を利用し、丸彫り手法により彫られている。木彫仏に類似した臼杵石仏の容姿と立体感は、日本石仏中の優品の一つといわれる。深田地区では、1976年から82年まで石仏周辺の環境整備に伴う発掘調査が臼杵市教育委員会によって実施され、石仏に関連する寺院跡の存在が確認された。
臼杵石仏のうち、中尾・深田地区のホキ第1群、ホキ第2群、山王山、古園の石仏4群59躯は、1962年国指定重要文化財となり、95年(平成7)には石仏としては初の国宝に指定された。なお、1980~94年に保存修復工事が行われ、修復後石仏の保存施設として覆屋を設置。また、それまでは古園石仏の中尊である大日如来坐像(だいにちにょらいざぞう)の仏頭が地上に安置されていたが、このときの修復により仏頭は本来の位置に戻された。
[菊田 徹]
『賀川光夫編『臼杵石仏 よみがえった磨崖仏』(1995・吉川弘文館)』
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