船舶職員及び小型船舶操縦者法(読み)せんぱくしょくいんおよびこがたせんぱくそうじゅうしゃほう

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

船舶職員及び小型船舶操縦者法
せんぱくしょくいんおよびこがたせんぱくそうじゅうしゃほう

船舶職員として船舶、あるいは小型船舶操縦者として小型船舶に乗り込む者の資格等を定め、これをもって船舶の航行の安全を図ることを目的とした法律。昭和26年法律第149号。

 2002年(平成14)の法改正以前は「船舶職員法」といい、1982年(昭和57)に「船員制度の近代化」と「船員の訓練、資格証明及び当直維持の基準に関する1978年条約」との関連で、また1998年(平成10)には「外国人船員の受験促進」に対応して改正され、2002年には小型船舶操縦者の免許を別建てとしたことで、現在の名称となった。

 「船舶職員」とは、船舶において、船長職務を行う者(小型船舶操縦者を除く)ならびに航海士、機関長、機関士、通信長および通信士の職務を行う者、それに加え特定設備の船舶(高度自動化船)において運航士として限定された職務を行う者をいう。「小型船舶操縦者」とは、総トン数20トン未満の船舶および一人で操縦を行う構造の小型船舶の船長をいう。

 船舶職員あるいは小型船舶操縦者になろうとする者は、国家試験に合格し、所定講習を修了して海技士あるいは小型船舶操縦士の免許を受けなければならない。海難が起こると、海難審判に付されるなどして、免許が取り消される。また、船舶所有者は、船舶の用途、航行する区域、大きさ、推進機関の出力に応じて、所定の海技免許を受有する、所定の人数の船舶職員を乗り組ませなければならない。この違反には罰則がある。小型船舶についても同様である。

 国際法に基づき、入域している外国船舶に立ち入り、乗組員が必要な資格証明書を受有しているかどうかを検査し、その要件を満たしていない場合、そのことが人の生命、身体もしくは財産に危険を生ぜしめ、または海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その船舶の航行の停止を命じ、またはその航行を差し止めることができるとしている。この外国船舶の監督はポートステートコントロールとよばれる。

[篠原陽一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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