デジタル大辞泉
「花笠」の意味・読み・例文・類語
はな‐がさ【花×笠】
1 造花などで美しく飾りたてた笠。祭礼や舞踊などに用いる。
2 花をつけた笠。花が降りかかった笠。
「―をさしてきつれど桜人春の山べのたよりとぞ見る」〈公任集〉
3 花を笠に見立てていう語。
「うぐひすの縫ふといふ笠はおけや梅の―や」〈催馬楽・青柳〉
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はな‐がさ【花笠】
- 〘 名詞 〙
- ① 花を笠に見立てて花弁が並んで、中がくぼんでいる様子。また、その花。
- [初出の実例]「うぐひすの 縫ふといふ笠は おけや 梅の波名加左(ハナカサ)や」(出典:催馬楽(7C後‐8C)青柳)
- ② 花が降りかかっている笠。落花が点々としている笠。また、花を挿した笠。
- [初出の実例]「花笠をさしてきつれど桜人春の山べのたよりとぞ見る」(出典:公任集(1044頃))
- ③ 踊りや祭礼に用いる、造花などで美しく飾りたてた笠。
- [初出の実例]「松笠や花笠となす今朝の雪〈望一〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)六)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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花笠 (はながさ)
祭礼や神事芸能にかぶる造花のついた笠。笠は日や雨をよける実用的な目的のほかに,これをかぶることで非日常的な状態にあることを表象する宗教的な役割ももつ。民俗信仰では,蓑笠をつけた者は異界から来訪する〈まれびと〉ないし神とされている。笠で顔をおおい隠すことは,リズム楽器や身体の反復的な動作とともに,人を通常とは異なった精神状態にさせた。花笠は神霊の降りる依代(よりしろ)でもあったから,これをかぶることで神が憑依(ひようい)し,神そのものが踊り狂い,また祝福するとみなされたのである。花巻市の大念仏,京都今宮神社の〈やすらい花〉,大阪住吉大社の住吉踊はじめ,各地の盆踊や花笠踊には,花で飾られた笠や傘が多く登場する。これは,花笠が神霊の示現をことぶれる呪具であり,また人間が身を隠し神に変身する物忌の道具でもあったからである。こうして,人は笠や同一の服装をすることで,日常生活の制約から解放され,踊り狂うなかで神と同一化するのである。
執筆者:飯島 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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花笠
はながさ
祭礼や祭り、踊りのときにかぶる装飾笠。多くは紙の造花で飾りたてたり、竹ひごなどを周りに垂らし、そこに造花をつけたりする。花笠をかぶる郷土芸能は多く、とくに新潟県佐渡(さど)市(旧両津市)、広島県北広島(きたひろしま)町、山口県周南(しゅうなん)市(旧熊毛(くまげ)町)、宮崎県延岡市のものが有名である。一方、御霊(ごりょう)信仰、疫神(やくじん)信仰に発したもので、華やかな花笠を神座として、人々がその周りを踊るものがある。花笠に悪霊を依(よ)り憑(つ)かせ、村境や海辺まで持って行き、そこで花笠を焼いたり流したりして悪霊を追い払うものである。
[山内まみ]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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