花鳥諷詠(読み)カチョウフウエイ

デジタル大辞泉 「花鳥諷詠」の意味・読み・例文・類語

かちょう‐ふうえい〔クワテウ‐〕【花鳥×諷詠】

近代俳句理念の一。俳句は、四季による自然の現象とそれに伴う人事とを、先入観念を排して純粋に叙景的に詠むのが理想であるとするもの。高浜虚子が昭和2年(1927)に主唱して以来ホトトギス派の指導理念となる。

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精選版 日本国語大辞典 「花鳥諷詠」の意味・読み・例文・類語

かちょう‐ふうえいクヮテウ‥【花鳥諷詠】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「花鳥」は目に映ずる自然。「諷詠」は心におこる詠嘆 ) 四季の変化による自然界人間界のさまざまな現象を、ただ無心に、客観的にうたいあげること。高浜虚子が昭和二年(一九二七)に、これが俳句の本道であると主張してから、ホトトギス派俳句の基本的な理念として尊重された。

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百科事典マイペディア 「花鳥諷詠」の意味・わかりやすい解説

花鳥諷詠【かちょうふうえい】

昭和初年,高浜虚子が提唱した俳句の理念。滑稽(こっけい)・閑寂という既成の俳句理念を捨てて,自然・人事を客観的にあるがままに詠(よ)み,十七字の形式を尊重し,季題約束を守るところに叙景詩としての俳句が成立することを説いた。平明な規定で,《ホトトギス》系俳句の普及を助けた。
→関連項目俳句

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四字熟語を知る辞典 「花鳥諷詠」の解説

花鳥諷詠

四季の変化による自然界や人間界のさまざまな現象を、ただ無心に、客観的にうたいあげること。

[使用例] 私の題は花鳥諷詠というのでありますが、この花鳥と申すのは花鳥風月ということで、芭蕉がよく申しました[高浜虚子*花鳥諷詠|1928]

[使用例] 彼を崇拝するぬいが、花鳥諷詠に心をひき入れられたのは当然である[松本清張菊枕|1953]

[解説] 「花鳥」は花と鳥、すなわち目に映ずる自然の意味。「諷詠」は詩歌を詠むこと。高浜虚子が昭和二年(1927)に、これが俳句の本道であると主張してから、ホトトギス派俳句の基本的な理念として尊重されました。

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世界大百科事典(旧版)内の花鳥諷詠の言及

【俳句】より

…多行形式によって独自の俳句美を書きとめた高柳重信,〈昼顔の見えるひるすぎぽるとがる〉などの句で日本的風土とは異質の言語美をもたらした加藤郁乎,彼らもまた金子らとともに今日の前衛派をなしている。一方の伝統派は,俳句を〈花鳥諷詠〉と規定した高浜虚子に代表される。《虚子句集》(1928)の序によると,その〈花鳥諷詠〉とは四季の変化によって起こる自然界の現象,ならびにそれに伴う人事界の現象を諷詠することであり,俳句は古典的な季節詩ということになる。…

※「花鳥諷詠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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