日本大百科全書(ニッポニカ) 「若林鉱」の意味・わかりやすい解説
若林鉱
わかばやしこう
wakabayashilite
硫化鉱物の一つ。1970年(昭和45)櫻井欽一(きんいち)(1912―1993)らによって発見された新鉱物。噴気性ヒ素鉱床中に初生鉱物として、他の硫化ヒ素鉱物とともに産する。自形は毛状、六角形の断面をもつ。群馬県下仁田(しもにた)町西ノ牧(にしのまき)鉱山(閉山)およびアメリカのネバダ州マンハッタン鉱山のヒ素鉱石中から発見され、その後フランス、ロシアからも発見された。合成実験ではヒ素(As)とアンチモン(Sb)の比率に多少の変化幅があるが、AsもSbも必須(ひっす)成分であることが確認されている。命名は日本の鉱物記載に多大の貢献のあった若林彌一郎(やいちろう)(1874―1943)にちなむ。
[加藤 昭 2018年12月13日]
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