労働用語。労使関係の円滑化のために,職場における労働条件や作業条件に関する従業員の不平,不満を解決すること。就業規則や労働協約の解釈・適用としてなされることが多い。日常頻繁におこる個人的苦情について,いちいち団体交渉や裁判所において解決することは必ずしも適切ではないので,迅速かつ柔軟な苦情処理のために特別の機関が設置されているケースが多い。その構成は,労使双方の委員から成る委員会方式が一般的であるが,使用者決定型や第三者裁定型もある。しかし,実際上は,多くの苦情がそのような機関を通さず,職場でインフォーマルに処理されているといわれる。苦情処理はアメリカにおいて一般化したものであり,労使の協約上では,最終的には仲裁arbitrationにまで達する何段階かの苦情処理機構grievance machineryが定められている。日本でも,国営企業労働関係法12条および地方公営企業労働関係法(地公労法)13条は,労使をそれぞれ代表する者から構成される苦情処理共同調整会議の設置を義務づけ,国家公務員については人事院がその任にあたることとされている(国家公務員法3条2項)。これは,国営・公営企業の公共性から,苦情の迅速かつ平和的処理を通じて,職場の明朗化と企業体の平和を維持することを目的としている。また民間企業においても,労働協約や就業規則などで苦情処理条項を設けている例がかなりみられる。
執筆者:道幸 哲也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… こういった状況のなかで,人間関係論が提起した基本的問題意識と産業における人間問題解決の具体的なアプローチは,1930年代後半以降とくに40年代において救世主の響きをもってアメリカの産業界に迎えられたのである。多くの企業では,作業などについての従業員の提案を奨励し,採用して参加意識を刺激する提案制度suggestion system,従業員の職場における各種の苦情を受理・処理する苦情処理制度grievance system,さらに積極的に従業員のもつ意見・不満を聴取し,その背後にある情感や態度の特徴を見いだそうとする面接計画,態度調査,ないしモラール・サーベイ等々が行われるようになった。いわばそれらは,要具的,孤立的,(経済)合理的な従業員観から離れて,主体的,集団成員的,没論理的行動の従業員の側面に管理のメスを加えようとするものであった。…
※「苦情処理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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