茶屋に付属した庭。一般の回遊式庭園や観賞式庭園と異なり、明確な使用目的をもった実用の庭である。茶庭という呼称は新しく、もとは露地(ろじ)(路次、路地、盧地、盧路とも書く)といい、これは茶の座敷へ行くための通路の意味である。しかし、茶の湯の草創期には「坪之内(つぼのうち)」「面坪(おもてつぼ)ノ内」「脇(わき)ノ坪ノ内」などとよばれていたことが、武野紹鴎(たけのじょうおう)の四畳半左勝手の外の空間を図示した文献(山上宗二(やまのうえそうじ)記)によって知ることができる。この坪之内は、せいぜい一坪ないし二坪の空間に大きい柳が1本、背後は松林といった程度で、意匠らしいものはほとんどなかった。また1597年(慶長2)の伏見(ふしみ)城の露地(この名称が使われている)のように、蘇鉄(そてつ)だけの露地もあるが、千利休(せんのりきゅう)の晩年から没後にかけて、飛石、手水鉢(ちょうずばち)、石灯籠(どうろう)、潜(くぐ)り戸、木戸、腰垣、植栽などが配置され、今日のような体裁がしだいに整ってきた。
[重森完途]
…庭園のことを山水といったのもそのためである。
[茶庭の発生]
15世紀の後半より京都,堺の町衆の間から〈下々のたのしみ〉としての茶の湯が流行した。茶を飲み茶器を鑑賞しあうことで,主客の融合をはかったのである。…
※「茶庭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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