日本大百科全書(ニッポニカ) 「葉銅鉱」の意味・わかりやすい解説
葉銅鉱
ようどうこう
chalcophyllite
少量のアルミニウムを含む銅の含水塩基性硫酸塩砒(ひ)酸塩鉱物。銅の初生鉱物を伴わないので、その二次鉱物を原鉱物とする次生鉱物という見解が多い。自形は六角板状。底面が発達していると、その上に正三角形を描く条線が出る。各種銅鉱床の酸化帯に他の銅の二次鉱物とともに産するが、それらの成分中重金属は鉄のみのことが多く、亜鉛や鉛の二次鉱物はほとんど伴わない。日本では山口県美祢(みね)郡美東(みとう)町(現、美祢市美東町)長登(ながのぼり)鉱山(閉山)や栃木県塩谷(しおや)郡塩谷町日光鉱山(閉山)などから産出が報告されている。
共存鉱物は、藍銅鉱(らんどうこう)、くじゃく石、ブロシャン銅鉱、赤銅鉱、珪(けい)くじゃく石、斜開銅鉱、毒鉄鉱など。同定は一方向に平行な完全な劈開(へきかい)、六角板状の自形による。劈開片を軽くたたくと、三方晶系の対称に従い、三方向の劈開に沿って直線的に割れる。命名はギリシア語の銅と葉片状の外観を意味する語の合成による。
[加藤 昭 2018年10月19日]