日本大百科全書(ニッポニカ) 「くじゃく石」の意味・わかりやすい解説
くじゃく石
くじゃくいし / 孔雀石
malachite
もっとも普通の銅の二次鉱物。同化学組成のジョージ石georgeiteとは同質異像関係にあるとされるが、計算値のH2Oを加えた分析値の合計が100%に達しないため、これが過剰の水分を含んでいる可能性もある。くじゃく石は、各種銅鉱床、とくに接触交代鉱床(スカルン型鉱床)あるいは炭酸塩を脈石とする鉱床の酸化帯中に産し、ほかの銅、亜鉛、鉛の二次鉱物と共存する。中性からアルカリ性の条件下での産物である。自形は柱状ないし毛状、あまり大きくはならない。多量に産すれば銅の鉱石鉱物となり、また良質のものは岩絵の具の原料ともなる。酸で発泡して溶解する。和名は、美しい緑色の外観と、層状をなして産する断面が、クジャクの羽の模様に類似していることによる。英名は植物のゼニアオイを意味するギリシア語の「マラキ」に由来し、その葉の色がこの鉱物を連想させることによる。
[加藤 昭]