毒鉄鉱(読み)どくてっこう(その他表記)pharmacosiderite

最新 地学事典 「毒鉄鉱」の解説

どくてっこう
毒鉄鉱

pharmacosiderite

化学組成鉱物毒砒鉄鉱とも。毒鉄鉱上族,毒鉄鉱族の一種。立方晶系,空間群,格子定数a0.796nm,単位格子中1分子含む。立方体結晶,まれに八面体結晶,粒状ないし土状。草緑・琥珀〜黄・赤色,透明ないし半透明で,ダイヤモンド〜脂肪光沢劈開{100}不完全から良好。硬度2.5。比重2.80〜2.87。薄片では緑〜黄色,光学的等方性,屈折率n 1.676〜1.704。Asを含む鉱物(硫砒鉄鉱砒鉄鉱ゲルスドルフ鉱など)の分解物として,スコロド石などの二次鉱物を伴って,熱水鉱脈やペグマタイト中にふつうに産する。島根県大田市池田鉱泉の沈殿物としても産した。KをNa・Ba・Sr・Pb・H3Oで置換した毒鉄鉱族の種が認められている(例えばnatropharmacosideriteのように)。名称は,ギリシア語の毒(pharmakon)と鉄(sideros)の組合せ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「毒鉄鉱」の意味・わかりやすい解説

毒鉄鉱
どくてっこう
pharmacosiderite

カリウムを含む含水正ヒ酸第二鉄の鉱物。硫砒(ひ)鉄鉱あるいは砒鉄鉱起源の二次鉱物として、これらを含む熱水鉱脈鉱床や接触交代鉱床スカルン型鉱床)中に産するほか、温泉沈殿物としても知られている。前者の例は大分県佐伯(さいき)市木浦(きうら)鉱山閉山)、岐阜県中津川(なかつがわ)市恵比寿(えびす)鉱山(閉山)など、後者の例は島根県池田温泉に知られる。自形は立方体、あるいはこれを基調とする立体。沈殿物の場合は土状。数ある毒鉄鉱のうち、一部の毒鉄鉱の水分は出入自由である。水分は、沸石水(脱水、吸湿を繰り返す)のため一定ではない。産地によって水の抜けやすいものと抜けにくいものがあり、幅がある形で与えられる。水分の増減は基本的な結晶構造に変化を及ぼさない。英名はギリシア語で毒と鉄を意味する語の合成語である。

[加藤 昭]


毒鉄鉱(データノート)
どくてっこうでーたのーと

毒鉄鉱
 英名    pharmacosiderite
 化学式   KFe3+4[(OH)4|(AsO4)3]・5~7H2O
 少量成分  Na,Al,Ba,Ca,P
 結晶系   等軸
 硬度    2.5
 比重    2.90
 色     草緑,橄欖緑,褐,赤,黄
 光沢    金剛~樹脂
 条痕    白~淡褐
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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