葛尾(読み)かつらお

改訂新版 世界大百科事典 「葛尾」の意味・わかりやすい解説

葛尾[村] (かつらお)

福島県東部,双葉郡の村。人口1531(2010)。阿武隈高地山中にあり,高瀬川上流域を占める。周囲を標高600~1000mの山々に囲まれ,村域の約半分が山林原野からなる。中心の落合は高瀬川と支流の葛尾川,野川の合流点にある。第2次大戦前までは馬産,養蚕が中心であったが,戦後は開拓入植者が多く,村の北東部に柏原,野行,小出谷などの開拓集落が形成された。馬産,養蚕は戦後振るわず,近年,米や葉タバコ栽培も生産調整により減少し,肉牛乳牛の飼育が中心となっている。五十人山は阿武隈高原中部県立自然公園の一部で,スズランツツジの大群落がある。近世末期,製鉄で財をなし葛尾大尽と呼ばれた郷士松本三九郎の屋敷跡がある。2011年3月の福島原発事故に際し,村役場機能を福島県会津坂下町,さらに同県三春町に移転した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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