帰還困難区域(読み)きかんこんなんくいき

知恵蔵miniの解説

帰還困難区域

原子力災害により放射線の年間積算線量が50ミリシーベルトを超え、5年間を経過しても年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある地域。5年以上の長期にわたって居住が制限される。2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故で拡散した放射性物質による住民の生命・身体への危険を回避するため、同年11月に国が設定した。12年12月現在、福島県南相馬市飯舘村大熊町の一部が同区域に指定されている。

(2012-12-11)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

帰還困難区域

東京電力福島第一原発事故を受け、政府が福島県内に設けた避難指示区域の一つ。放射線量の高い順に「帰還困難区域」「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」。 帰還困難区域は年間に換算した放射線量が2011年度末で50ミリシーベルトを超えていた区域で、政府が立ち入りを原則禁止している。7市町村にわたり、対象住民は約2万4千人。帰還のめどはたっていない。

(2016-01-13 朝日新聞 朝刊 生活1)

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デジタル大辞泉の解説

きかんこんなん‐くいき〔キクワンコンナンクヰキ〕【帰還困難区域】

福島第一原発事故による避難指示区域の一。事故を起こした原子炉冷温停止状態に達した後、それまでの警戒区域・避難指示区域(計画的避難区域)を見直して新たに設定されたもので、放射線の年間積算線量が50ミリシーベルトを超えており、5年を経過しても20ミリシーベルトを下回らないおそれのある地域。→避難指示解除準備区域居住制限区域

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百科事典マイペディアの解説

帰還困難区域【きかんこんなんくいき】

東京電力福島第一原発事故による放射能汚染区域が同原発敷地を中心に広範囲に及び,国は2011年4月,避難指示区域である警戒区域(原発から20Km圏)とその外側の計画的避難地域を設定した。さらに2011年12月,国はこれらの区域について放射線量に応じて再編することを決定,事故発生後1年を経過した2012年3月から数え,5年以上戻ることのできない区域を帰還困難区域(年間放射線量50ミリシーベルト超)とし,数年で帰還をめざす居住制限区域(同20ミリ〜50ミリシーベルト),早期帰還をめざす避難指示解除準備区域(同20ミリシーベルト以下)の3区分とした。帰還困難区域は立ち入り自体が制限され,他の2区域は宿泊はできないが出入りは自由としている。再編の焦点は,帰還困難区域の線引きで,国の賠償基準では事故から帰還まで6年以上かかるとされた場合は,土地・建物などの不動産を全額賠償する。
→関連項目飯舘[村]

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

帰還困難区域
きかんこんなんくいき

2011年(平成23)3月11日の東北地方太平洋沖地震により発生した東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、政府が住民に対し、放射線量がきわめて高いため、長期にわたって立入りを制限している地域。住民の生命・身体の危険を防ぐため、政府が立入りを原則制限・禁止する避難指示区域の一つである。指定直前の2012年3月時点で、1年間の積算放射線量が50ミリシーベルトを超えており、事故後6年経っても年間積算放射線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある地域である。国際原子力機関(IAEA)などの国際機関の基準を考慮し、20ミリシーベルト以上の地域に居住し続けると、人体に影響を及ぼすおそれがあると判断した。
 帰還困難区域は原則立入禁止で、区域境界にはバリケードなど物理的防護施設を設け、警察が検問し、住民に避難の徹底を求める。例外的に、住民の一時立入り、主要道路の通過交通、防災など公益を目的とした立入りなどを認めるが、市町村長が発行した通行証が必要で、防護服着用や線量計所持を徹底し、個々の被曝(ひばく)線量を測定して健康に害が及ばないようにする必要がある。区域内での宿泊はいっさい認めない。帰還困難区域の住民には、精神的損害に対する賠償として、一人一律1450万円が東京電力から支払われた。区域内の不動産や住宅は「全損」扱いとし、福島第一原発事故前の価格で全額を東京電力が賠償する。除染やインフラ復旧については、放射線量が高く、ほとんど手つかずの状況にある。2017年4月時点で、福島県の富岡(とみおか)町、大熊(おおくま)町、双葉(ふたば)町、浪江(なみえ)町、葛尾(かつらお)村、飯舘(いいたて)村、南相馬(みなみそうま)市のそれぞれ一部が該当。総面積は名古屋市とほぼ同じ337平方キロメートル、避難対象住民は約2万4000人にのぼる。政府は2016年、避難指示区域を2017年3月までに解除する方針を示したが、放射線量の高い帰還困難区域はこの対象から除かれた。政府は2016年12月、帰還困難区域内に住民が居住できる「特定復興拠点」を設けて国費で除染とインフラ整備を進め、5年後をめどに避難指示を解除する方針を示した。[矢野 武]

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