藤原乙牟漏(読み)フジワラノオトムロ

デジタル大辞泉 「藤原乙牟漏」の意味・読み・例文・類語

ふじわら‐の‐おとむろ〔ふぢはら‐〕【藤原乙牟漏】

[760~790]桓武天皇皇后平城天皇嵯峨天皇の母。

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精選版 日本国語大辞典 「藤原乙牟漏」の意味・読み・例文・類語

ふじわら‐の‐おとむろ【藤原乙牟漏】

桓武天皇の皇后。平城天皇・嵯峨天皇の母。藤原宇合の子、良継の娘。天平宝字四~延暦九年(七六〇‐七九〇

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朝日日本歴史人物事典 「藤原乙牟漏」の解説

藤原乙牟漏

没年:延暦9.閏3.10(790.4.28)
生年:天平宝字4(760)
奈良時代末,桓武天皇の皇后。父は藤原良継,母は尚侍阿倍古美奈。宝亀5(774)年安殿親王(平城天皇)を出産し,延暦2(783)年桓武即位により皇后。同5年賀美能親王(嵯峨天皇),同8年高志内親王(淳和天皇皇后)を出産。翌年長岡京で死去。諡 は天之高藤広宗照姫之尊。その死は,桓武が平安京遷都を決意する理由となったといわれる。長岡山陵(高畠陵)は現京都府向日市寺戸町大牧とされる。大同1(806)年平城天皇即位により皇太后,のち仁明天皇即位により太皇太后となった。自身皇后となり,子もすべて天皇あるいは皇后となった栄えある女性とみえるが,夫桓武とは年が23歳離れているうえ,14歳で初産,31歳で死去。

(児島恭子)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤原乙牟漏」の意味・わかりやすい解説

藤原乙牟漏
ふじわらのおとむろ
(760―790)

桓武(かんむ)天皇の皇后。父は宇合(うまかい)の子良継(よしつぐ)、母は阿倍古美奈(あべのこみな)。天皇が皇太子のときその妃となり、即位後の783年(延暦2)皇后にたてられた。平城(へいぜい)・嵯峨(さが)両天皇を産み、同じ式家出身である夫人藤原旅子(たびこ)(淳和(じゅんな)天皇の母)とともに宮廷重きをなしたが、790年閏(うるう)3月10日病死、「天之高藤広宗照姫之尊(あめのたかふじひろむねてらすひめのみこと)」の諡号(しごう)を受け、長岡山陵(高畠(たかばたけ)陵、京都府向日(むこう)市寺戸町)に葬られた。

笹山晴生

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤原乙牟漏」の解説

藤原乙牟漏 ふじわらの-おとむろ

760-790 奈良-平安時代前期,桓武(かんむ)天皇の皇后。
天平宝字(てんぴょうほうじ)4年生まれ。式家藤原良継の娘。母は安倍子美奈(こみな)。平城(へいぜい)天皇,嵯峨(さが)天皇,高志(こしの)内親王を生む。延暦(えんりゃく)9年閏(うるう)3月10日死去。31歳。皇太后,ついで太皇太后を追贈された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藤原乙牟漏」の意味・わかりやすい解説

藤原乙牟漏
ふじわらのおとむろ

[生]天平宝字4(760)
[没]延暦9(790).閏3.10.
桓武天皇の皇后。良継の娘。延暦2 (783) 年桓武天皇の即位に伴い皇后となる。平城,嵯峨両天皇の生母

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世界大百科事典(旧版)内の藤原乙牟漏の言及

【大原野神社】より

…建御賀豆智(たけみかずち)命,伊波比主(いわいぬし)命,天之子八根(あめのこやね)命,比売(ひめ)神をまつる。784年(延暦3)長岡京へ遷都のとき,皇后藤原乙牟漏がその氏神春日神社を勧請したことにはじまり,平安遷都のあと850年(嘉祥3)社殿を造営,地名より大原野神社と称した。翌年(仁寿1)2月勅祭を行い,以後毎年2月上卯日,11月中子日に官祭の大原野祭が行われ,勅使のほか中宮・東宮の使も派遣,その供奉人には藤原氏の氏人を用いた。…

【藤原良継】より

…奈良時代の官人。藤原宇合(うまかい)の二子で,母は石川麻呂の娘。はじめ宿奈麻呂(すくなまろ)といったがのち良継と改名。740年(天平12)兄藤原広嗣の反乱に連座して伊豆に流されたが2年後に放免され,少判事をへて746年従五位下となる。以降,権力を集中する藤原仲麻呂に対しては反対の立場を堅持し,大伴家持らと謀って仲麻呂を排除しようとした陰謀は発覚したが,自分の単独犯と主張して官位を奪われた。764年(天平宝字8)恵美押勝の乱に際しては兵を率いて追討し,功により従四位下勲四等が授けられ,大宰帥となった。…

※「藤原乙牟漏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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