デジタル大辞泉
「藻塩」の意味・読み・例文・類語
も‐しお〔‐しほ〕【藻塩】
1 海藻からとった塩。海藻を簀の上に積み、いく度も潮水を注ぎかけて塩分を多く含ませ、これを焼いて水に溶かし、その上澄みを煮つめて製する。
「わくらばに問ふ人あらば須磨のうらに―たれつつわぶとこたへよ」〈古今・雑下〉
2 1をつくるためにくむ潮水。
「―くむ袖の月影おのづからよそにあかさぬすまの浦人」〈新古今・雑上〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
も‐しお ‥しほ【藻塩】
〘名〙
① 海藻を簀の上に積み、潮水を注ぎかけて塩分を多く含ませ、これを焼いて水に溶かし、その上澄
(うわず)みを釜で煮つめて製した塩。また、その
製塩法。
※
万葉(8C後)六・九三五「
朝凪(あさなぎ)に 玉藻刈りつつ
夕凪に 藻塩
(もしほ)焼きつつ」
② 藻塩を製するために汲む潮水。
※新古今(1205)雑上・一五五七「もしほくむ袖の月影おのづからよそにあかさぬすまの浦人〈藤原定家〉」
[語誌](1)藻はあくまでも
海水を
濃縮するためのもので、焼きはしない、という説もある。
(2)平安時代の
製塩法については、「
奥義抄」(
一一三五‐四四年頃)に砂を利用して塩を作っていたことが記されている。当時、藻塩製塩法は既に過去のものであり、「もしほ」は、製塩の実態とは離れて、
和歌の世界にのみ存在する語となっていたとも考えられる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
藻塩
もしお
古代の製塩法。「万葉集」「風土記」「歌経標式(かきょうひょうしき)」などの「藻塩焼く」「塩を焼く藻」「垂塩」などの表現から,海藻をかき集めて簀(さく)の上に積みあげ,海水を注ぎながら濃縮して塩分濃度をあげ,それを焼いて水に溶かし,上澄みをさらに土器や釜で煮沸して製塩したものらしい。9世紀後半に塩浜が成立すると,海藻による濃縮は行われなくなっていった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報