蛋白同化ホルモン剤(読み)タンパクドウカホルモンザイタンパクドウカステロイドザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「蛋白同化ホルモン剤」の解説

蛋白同化ホルモン剤(蛋白同化ステロイド剤)

製品名
《メテノロン製剤》
プリモボラン(バイエル薬品

 男性ホルモンには、男性としての機能を発揮させる性ホルモンの作用のほかに、①蛋白質を体内に蓄えて(蛋白同化作用)、基礎体力を向上させる、②骨にカルシウムを蓄えて骨を強化する、③赤血球の量を増やして貧血を改善する、④血液中の脂質を低下させて脂質異常症を改善するという作用もあります。


 蛋白同化ホルモン剤は、男性ホルモンの性ホルモンとしての作用はできるだけ排除し、①~④の作用だけを発揮させるようにした薬です。ただし、性ホルモンとしての作用はできるだけ取り除いてあるといっても完全ではないので、使用を誤ると、女性は男性化、子どもは性早熟・成長停止といった副作用をおこすことがあります。


 骨粗鬆症こつそしょうしょう慢性腎臓病じんぞうびょうガン外傷やけどといった著しい体力の消耗状態再生不良性貧血による骨髄の消耗状態などの治療に用います。


①過敏症状(発疹ほっしん発熱・かゆみなどのアレルギー症状)、肝機能障害、黄疸おうだんをおこすことがあります。このような症状がおこったら、使用を中止してすぐ医師に相談してください。


吐き気嘔吐おうとにきび、女性は嗄声させい、多毛、色素沈着、生理不順、口の渇き、寝汗、陰核肥大、性欲亢進こうしん、男性は勃起ぼっき持続、精巣機能抑制といった症状などがおこることがあります。こうした症状がおこったときは、必ず医師に相談してください。


錠剤で、1日2~3回食後の服用が原則です。1日あるいは1回の錠数、服用時間については医師の指示をきちんと守り、かってに中止したり、減量・増量しないでください。


②この薬を服用中は、副作用出現のチェックや、薬の効果の判定のための定期的な検査が指示されるはずです。必ず受けてください。


③以前にこの薬で過敏症状をおこしたことのある人、家族にアレルギーのある人、前立腺ぜんりつせんガンなどの男性ホルモン依存性ガンのある人またはその疑いのある人、妊婦あるいは現在妊娠する可能性のある人には原則として使用できません。また糖尿病・前立腺肥大症・心臓病・腎臓病・ガンの骨転移状態といった病気のある人には、使用量を減らすといった配慮が必要です。このような人は、あらかじめ医師に報告してください。


④性早熟や成長停止などをおこさないために、小児には使用量を減らすといった配慮がしてあります。指示通りに服用してください。


⑤この薬と副腎皮質ホルモン剤を併用すると、高血糖傾向になることがあります。また、抗凝血剤と併用すると、抗凝血剤が効きすぎて、出血をおこしやすくなります。こうした薬を服用している人は、あらかじめその旨を医師に報告してください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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