小児に多い寄生虫症ですが、大人も感染します。多くの線虫感染症と違って、国内でも珍しくありません。ヒトからヒトへの感染が起こるので、家族内や保育所内などで集団で感染していることがあります。
蟯虫は
交尾をしたメスの体内で卵が十分に発育してくると、メスは住みかである盲腸を離れ、夜中に肛門から外に
寄生している虫の数が少ない時は症状のないことも多いのですが、メスが産卵のため這い回るので、肛門周囲に強いかゆみを感じます。とくに小児では、お尻をかきむしって細菌感染の原因になったり、寝不足になることがあります。
また、盲腸に寄生しているので、虫垂炎の原因になることもあります。
蟯虫は腸のなかでは産卵しないため、便のなかに卵は現れません。肛門周囲に産みつけられた卵を検出するには、セロハンテープ法という方法で行います。
朝起きてすぐ、ふとんを出る前に肛門に粘着性のセロハンテープをつけて卵を付着させ、顕微鏡で卵を見つけます。蟯虫は毎日産卵するわけではないので、日を変えて2回、あるいは3日連続して検査します。
蟯虫卵は、産卵されて数時間以内に感染可能なまでに発育し、指や衣類、寝具に付着して感染源になります。ヒトは蟯虫に対しては免疫ができずに何度でも感染するので、小児がお尻をかいて卵のついた指をそのまましゃぶると感染がひどくなります。また、同じふとんで寝たり、密接な接触のある集団内では感染が広がっていきます。
病害性の低い寄生虫ですが、見つけたら家族いっせいに駆虫することが基本です。普段から爪を短く切る、手洗いをよくする、寝具や室内を清潔に保つなどの注意が必要です。
丸山 治彦
蟯虫が腸に寄生する病気で、寄生虫症のなかで最も多く、学童、幼児に多くみられます。
蟯虫が肛門付近に産卵する時にかゆみを伴うため、かいた手に虫卵が付着します。その虫卵の付いた手で周囲の物に触ることで、環境に付着し、そこから他の人の口へ入って感染します。
肛門のかゆみ、肛門周囲の皮疹がみられます。かゆみのために不眠などの症状が現れることもあります。
朝、排便前にセロファンテープを肛門に付けて虫卵の有無をみます。
家族全員がコンバントリンを内服する必要があります。環境を介して経口感染するため、家族も蟯虫症の可能性があり、家族全員の治療を行わないと再発することがあります。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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