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血清病 けっせいびょうserum sickness

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

血清病
けっせいびょう
serum sickness

異種蛋白に対する過敏現象で,ヒトに動物血清を注射したときに副作用として起る。反応は免疫血清でも正常血清でも現れ,一般には皮下注射より静脈内注射のほうが発生頻度が高い。初回注射の場合,大部分は7日以内に現れ,まず皮膚,ことに注射部位に発疹ができ,全身に及ぶ。リンパ節腫脹のほか,嘔吐,けいれんなどの症状が出現する。2回目以降の注射では,抗体がすでにつくられているので反応の現れ方が速く,症状も重篤となる。最近,治療血清は改良されているが,事前の検査は必要である。

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百科事典マイペディアの解説

血清病【けっせいびょう】

動物血清の注射による一種の過敏現象。正常血清でも免疫血清でも起こるが,多くはジフテリアなどの血清療法の際に発病する。初回注射による症状は,発熱,発疹,浮腫(ふしゅ),関節痛,タンパク尿リンパ腺腫脹(しゅちょう)などであるが,普通は軽く3〜4日でなおる。
→関連項目アレルギー反応ジフテリア血清免疫血清

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家庭医学館の解説

けっせいびょう【血清病】

 ジフテリアや破傷風(はしょうふう)の治療のために、ウマの免疫抗毒素血清(めんえきこうどくそけっせい)を注射したときにおこる副作用が、血清病です。
 最初の注射では、リンパ節の腫(は)れ、発熱、発疹(ほっしん)、たんぱく尿などがおこりますが、軽症です。
 1回目の注射の後、1週間以上の間隔をおいて2回目の注射をすると、ショックをおこし、死亡することが多いものです。
 したがって、以前、抗毒素血清の注射を受けたことのある人は、事前に医師に報告する必要があるのです。

けっせいびょう【血清病 Serum Sickness】

[どんな病気か]
 ジフテリア、破傷風(はしょうふう)、狂犬病(きょうけんびょう)、ボツリヌス菌による中毒、ハブやマムシなどの毒ヘビにかまれる蛇咬症(じゃこうしょう)など、血液に毒が入った場合、この毒を抗原(こうげん)とする、ほかの動物(ウマなど)の抗体(こうたい)を与えて、抗原抗体反応(こうげんこうたいはんのう)をおこして毒性をなくすことで治療します。
 この抗体は、ウマなどの動物の血清に含まれているものを注射するので、注射された人の血液には、この血清を抗原とする抗体ができ、アレルギー反応(免疫のしくみとはたらきの「アレルギー反応」)がおこることがあります。これを血清病といいます。
[原因]
 以前は、細菌や動物の毒によっておこる中毒症に対して、ウマなどからつくる血清剤(けっせいざい)(抗血清(こうけっせい))を使用したため、アレルギー反応が生じ、血清病がおこることが多かったのです。しかし、アレルギー反応がおこりやすい、種の異なる(異種(いしゅ))動物の抗血清を使うことは激減しており、最近では、ペニシリンなどの抗生物質サルファ剤ヒダントイン系薬物、サイアザイド(チアジド)系利尿薬などの薬物を使用することでおこる血清病が増えています。
 血清病では、異種動物の抗原に対してつくられた抗体が反応して、免疫複合体(めんえきふくごうたい)というものが血中にできます。
 これが、血管、腎臓(じんぞう)、関節などに沈着して、アレルギー反応をひきおこし、組織の障害がおこるのです。
[症状]
 発熱、発疹(ほっしん)、リンパ節の腫(は)れ、関節の痛みなどが、よくみられる症状です。
 抗血清の注射では、注射後1~2週間で、発熱、全身のだるさ、じんま疹(しん)、リンパ節の腫れ、関節の痛み、むくみ、白血球(はっけっきゅう)の減少、尿へのたんぱくのもれ(たんぱく尿)がみられます。
 2回目の注射では、より少ない量で、より早く(8日以内)、より激しく症状が現われます。
 薬物が原因である場合は、発熱、全身のだるさ、じんま疹、関節の痛み、腎炎(じんえん)、神経炎といった症状が、薬物を使用してから、1~3週間で現われます。ふつう、これらの症状は、薬物の使用を中止すれば数日で消えます。
[検査と診断]
 血清病だけにみられる検査結果はありません。血液中の免疫複合体の増加、炎症反応(えんしょうはんのう)(血液沈降速度、血中のC反応性たんぱく質の増加)、軽いたんぱく尿、血尿などがみられます。
[治療]
 ふつう、症状は軽く、数日で自然によくなるので、それぞれの症状を抑えるようにします。
 じんま疹には、抗ヒスタミン薬が効きます。発熱や関節の痛みには、消炎鎮痛薬(しょうえんちんつうやく)が効きます。
 重症の場合は、ステロイド副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)が使用されます。
[予防]
 抗毒剤として異種動物の血清を使うことを避け、ヒトの血液でつくるヒト血清を使用するようにします。
 やむをえず異種動物の血清を使う場合は、まず皮膚をひっかいて血清を滴下させるなどのテストをして、反応をみきわめてから、慎重に使います。

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世界大百科事典 第2版の解説

けっせいびょう【血清病 serum sickness】

異種動物の血清や薬物の注射を受けて1~2週間後に発生する全身のアレルギー反応。本来はウマの抗毒素血清を注射したあとに現れる症状に用いられた用語だが,現在では広い意味に使われ薬物投与後に生ずる場合にも用いられている。異種血清や薬などの異物は生体内では抗原となって,これと反応する物質(抗体)が産生される。抗体は残存している抗原と結合して複合物ができ,これが血液に入って症状をひきおこす。発熱,皮膚の蕁麻疹(じんましん)や紅斑,リンパ節の腫大,関節の腫張と痛みは,血清病によくみられる四つの徴候とされている。

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大辞林 第三版の解説

けっせいびょう【血清病】

異種の動物血清を注射したあとにみられる副作用の一。アナフィラキシーなどショック症状を起こすものと、発熱・頭痛・全身倦怠感・発疹などの一連の症状を起こすものとに大別できる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

血清病
けっせいびょう

異種の免疫血清である異種抗血清(おもにウマ免疫グロブリン)の注射による過敏反応として生ずる一定の症状群をいう。注射後発症までの日数により、次の3型に分けられる。
(1)一次性血清病 注射後1~2週間の潜伏期を経て発熱、皮疹(ひしん)(じんま疹型のことが多い)、関節痛(関節炎)、リンパ節腫脹(しゅちょう)などを生じ、心・腎(じん)障害や神経炎が出現することもある。大量の抗原を注射すると、それに対する抗体が産生され、残存している抗原と結合して免疫複合体が形成されるためで、症状は通常、数日で消失する。
(2)促進型血清病 再注射により生じ、すでに抗体が産生されているので症状の出現が1~4日と早い。
(3)アナフィラキシー型血清病 ときに注射後ただちにアナフィラキシーショックがおこることがある。アトピー素因者に生じやすい。
 血清病は、予防的能動免疫の実施、抗生剤の開発、ヒト抗毒素血清(たとえば破傷風)の使用などにより減少しているが、現在でも蛇毒(じゃどく)、ガス壊疽(えそ)、ボツリヌス中毒などウマ抗毒素血清を使用せざるをえないものもある。通常、血清病という場合には一次性ないし促進型血清病を意味するが、種々の薬剤(とくにペニシリン)により同様の症状を生ずることがあり、広義に用いられることもある。対症的治療が行われ、皮膚症状に対しては抗ヒスタミン剤、発熱や関節痛に対しては消炎鎮痛剤を用いる。これらの薬剤が無効のときにはステロイド剤を使用する。[高橋昭三]

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世界大百科事典内の血清病の言及

【アレルギー】より

…しかし,抗毒素血清による治療は,動物に免疫した血清を用いるため,蕁麻疹,発熱,関節痛,リンパ節腫張,ときにショックを起こすなどの異常な反応をもたらした。これは今日血清病と呼ばれているものであるが,抗血清の注射による〈変じた反応〉として認識された。同年R.コッホは,健康なモルモットの皮下に結核菌を注射すると,1~2週間後にその局所に結節ができ,次いで潰瘍になり,死ぬまで治らないが,結核菌の感染を受けているモルモットでは1~2日後に硬結ができ,やがて潰瘍になるが,しかしこの潰瘍は急速に治ってしまうことを発見した。…

【抗毒素】より

…この血清から免疫グロブリンを精製したものが抗毒素製剤である。抗毒素は,E.ベーリング,北里柴三郎により1890年に開発され,以来ウマの抗毒素製剤が用いられてきたが,ウマの免疫グロブリンもヒトには異種のものであり,これに対する抗体が治療をうけた患者に生じることが原因となって血清病になることがあるので,抗毒素を多量に含むヒト血清から免疫グロブリンを精製した製剤が用いられるようになってきている。しかし,ヘビ,サソリなどの抗毒素はウマ血清由来のものが多い。…

【免疫】より

…血清療法が盛んになって,異種動物,ことにウマの血清を注射すると,数日のうちに蕁麻疹(じんましん),糸球体腎炎,血管炎などの病的反応が起こってくるが,これは注射された血清に対して,生体が免疫反応を起こして抗体をつくり,生体内で抗原抗体反応が起こったためである。これを血清病という。もし同じ血清を2度注射すると激しいショック症状(アナフィラキシーショック)を起こして,しばしば死に至る。…

※「血清病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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