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裁判心理学 さいばんしんりがくforensic psychology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

裁判心理学
さいばんしんりがく
forensic psychology

裁判過程にかかわる心理的な諸問題に関しての実証的な研究を行う心理学。歴史的には証言の信頼性に関する A.ビネの研究に始るといわれるが,そのほか,違法者の心理的背景の調査研究,違法者のパーソナリティ研究,犯罪者の精神鑑定,裁判官や弁護士のパーソナリティ研究などが含まれる。

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世界大百科事典 第2版の解説

さいばんしんりがく【裁判心理学】

裁判およびその関連手続における心理学的問題を取り扱う応用心理学の一部門。供述証拠(被告人の自白を含む)の証明力に関する供述心理学や,裁判での心証形成過程を解明しようとする裁判過程論がその主要内容である。犯罪および犯罪者の心理に関する犯罪心理学(犯罪学)は,現在ではこれらとは別の独立した学問分野となっている。
[供述心理学]
 20世紀初めごろからドイツを中心にヨーロッパ諸国で研究が本格化した。グロースらの刑事司法実務家が実務経験を基礎にしたのに対し,シュテルンやリップマンらは実験心理学的手法を採り入れた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

裁判心理学
さいばんしんりがく
forensic psychology

裁判心理学という心理学の領域や体系はまだ確立したものではないので、現在の時点では、裁判に関連する事柄に関した心理学という程度の意味に解しておくのがよいであろう。これを歴史的にみると、オーストリアの刑事学者ハンス・グロスHans Gross(1847―1915)による証言や供述の信憑(しんぴょう)性、正確さに関する研究に発しており、日本では心理学者であり刑法学者でもある植松正(うえまつただし)(1906―99)が、この種の課題についての実験心理学的研究を行い、「裁判心理学」の名を冠した著書がある。[瓜生 武]

研究の内容

現在までのところでは「裁判心理学」即供述(証言)の心理学であるといってよいが、これを広く裁判にかかわる事柄に関する心理学と解すると、およそ次のような研究を含めて考えることができる。[瓜生 武]
犯罪捜査の心理学
特定の犯人に特徴的にみられる行動類型(たとえば犯行手口の反復性)の研究、犯行(被害)の形態から痴情か物取りかなど動機を推定する方法の研究、犯人に共通する心理から、犯行後の行動(たとえば立回り先や自殺の危険)を推定する方法の研究など、従来、捜査官の勘といわれてきたものの統計的・理論的検証のほか、供述に際しての生理的反応の測定を応用したうそ発見器の開発やポリグラフ検査法の研究、そのほか捜査面接法の研究などがあげられる。[瓜生 武]
裁判過程の心理学
刑事裁判の過程は、大別して、(1)被告が起訴されている犯罪行為を行ったか否かを判断する事実認定の過程と、(2)その行為がいかなる刑罰法令に該当し、いかなる刑罰を加えるのが相当かを判断する量刑の過程とに分けられる。
 前述した証言の心理学は前者の過程に関する研究であるが、後者の過程には裁判官の主観的要素が入り込む余地があり、どのような裁判官がどのような判断を示しやすいかといった問題があり、この種の研究は「経験法学」とよばれる法学の一学派によって進められている。また、認定された事実に法を適用する際の法解釈の基礎にある「法感情」についての心理分析も、心理学と法学の境界研究としての試みがある。量刑にあたっては犯行の動機や、その背景にある被告の性格・行動傾向の分析から、刑罰の矯正効果についての予測を求める鑑定なども徐々に心理学者によって試みられている。[瓜生 武]
刑罰の心理学
刑法学の基礎には、刑罰の犯罪抑制効果についての理論仮説があるが、一般人に対する予防効果は社会心理学の研究課題であり、具体的犯罪者に対する矯正効果は臨床(矯正)心理学の研究課題である。このほか、民事裁判の問題も含め、これらのテーマを関連づけ体系化した裁判心理学はまだ実現していない。[瓜生 武]
『植松正著『裁判心理学の諸相』(1958・有信堂高文社) ▽ゼーリッヒ著、植村秀三訳『犯罪学』(1962・みすず書房) ▽安香宏・麦島文夫編『犯罪心理学』(1975・有斐閣大学双書) ▽菅原郁夫著『民事裁判心理学序説』(1998・信山社出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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