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解釈学 かいしゃくがくhermeneutics

翻訳|hermeneutics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

解釈学
かいしゃくがく
hermeneutics

(1) 文献からその内容を正確に読取るための技術論。初め,聖書の正しい理解の必要から発達し,今でも特に聖書の解釈のための学問の意味で用いられることがある。 (2) ドイツ語の Hermeneutikは,F.E.D.シュライエルマッハーが確立し,W.ディルタイが『解釈学の成立』 Die Entstehung der Hermeneutik (1900) で精神科学の基礎に据えた哲学説。文芸作品を含む文化全般を生命の表現とみて,それを理解,解釈する方法を目指した。

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デジタル大辞泉の解説

かいしゃく‐がく【解釈学】

古典解釈の方法を研究する学問。古典解釈学。
人間の精神活動の所産を人間体験の表現として客観的に了解するために、その解釈の方法や理論を扱う学問。古代ギリシャやルネサンス期に文献学の方法として展開、19世紀にディルタイによって哲学的方法として大成された。

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百科事典マイペディアの解説

解釈学【かいしゃくがく】

ドイツ語Hermeneutikなどの訳。広義の言語作品(テクスト)の解釈の方法と理論に関する学。洋の東西を問わず成立しうるが,文献学,聖書釈義学の長い伝統を有するヨーロッパ世界においてとりわけ自覚的に深められ,重要な思想的基盤を提供してきた。
→関連項目ガダマーディルタイハートマンリクール

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世界大百科事典 第2版の解説

かいしゃくがく【解釈学 Hermeneutik[ドイツ]】

テキスト解釈の方法と理論を扱う学問。その場合のテキストとは,文字で表現された文書や文学作品だけでなく,現代では神話や夢,芸術作品など,解釈を要するあらゆる形式の言語作品までも含まれる。〈解釈学〉の語源は,〈解釈する〉を意味するギリシア語hermēneueinで,もともと古代ギリシアで文献学の補助学として成立した。以後,テキスト解釈の技術として,古典解釈学,法解釈学,聖書解釈学など領域別に発達してきた。

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大辞林 第三版の解説

かいしゃくがく【解釈学】

人間の歴史的文化的表現の背後に隠されている象徴的な意味や在り方を、一定の解釈法によって了解しようとする学問。古来、聖書や法典を解釈する技法として発達したが、シュライエルマッハーにより理解の一般理論に高められ、さらにガダマーにより存在論化されて哲学的解釈学へと脱皮した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

解釈学
かいしゃくがく
Hermeneutikドイツ語

解釈に関する学。すなわち自然科学的認識によって代表される「説明」(外面的認識)とは区別された、生あるいは人間精神の表現の把握である「理解」(内面的認識)にかかわる哲学理論。解釈学の思想は古典ギリシアにさかのぼる。「解釈する」というギリシア語動詞は、「理解させる」「わからせる」という元の意義から派生した、「表現する」「説明・解釈する」「翻訳する」という三様の意義をもっている。ことばと文字の発明者とされる神々の使者ヘルメスの任務は、このような意味における神々の思想の人々への伝達であった。理解の営みとしての解釈の作業は古代以降なされてきたが、歴史的には、ヘレニズム期の言語学、文献学とストア派的な比喩(ひゆ)的解釈とを受け継いだキリスト教の聖書の神学的・文献学的解釈、ならびにローマ法にかかわる法学的解釈が重要である。理解の学としての解釈学の概念が確立したのは遅く近代のことであり、その際シュライエルマハーのもつ意義は決定的であった。彼は解釈学の概念を厳密に理解の技術論に限定したが、それは文法的解釈と心理的解釈の2部門に分けられる。解釈学に体系的基礎を与えたベック(1785―1867)は彼の弟子である。ディルタイはシュライエルマハーに則して解釈学を「文書に固定された生の諸表現の理解に関する技術論」と定義し、そこに歴史学、精神科学一般の基礎づけを求めた。
 その後、この概念の用法は拡大され、生と世界の解釈、人間一般の解釈を意味し、哲学そのものの方法となったのである。この線を徹底させてハイデッガーは、解釈学を「実存の実存性の分析論を意味する現存在の現象学」と規定する。この学において、すべての存在論的探究の可能性の条件が明らかにされるべきなのである。彼の影響は深く広範であり、神学のブルトマンにおけるように学際的でもあった。日本の和辻哲郎(わつじてつろう)の倫理学もその一例といえよう。ハイデッガーによる理解の循環構造の存在論的分析を踏まえて、現代の代表的な解釈学的哲学を唱えたのがガダマーである。彼は知の地平性、理解の歴史性を提示して、近代的・批判的方法知の真理概念を鋭く批判した。その世界地平の言語性、経験の根源的言語性の思想は、言語に絶対的ともいえる位置を与えている。今日、解釈学的哲学をめぐって、真理と方法知、伝統と批判の関係が論議され、リクールは批判的解釈学を企てている。また価値や規範に関連して解釈学と実践哲学、さらには地平とパラダイム(諸概念の結び付きの枠組み)、言語と先(非)言語的なもの、芸術と解釈学、伝統的には深く関係しあっていた解釈学とレトリック、といったテーマが広く問われている。[常葉謙二]

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世界大百科事典内の解釈学の言及

【説明】より

…外国語の文章が好例であるが,文全体の理解のためには,部分である単語を理解していなければならないし,逆に単語の意味を確定するためには文の全体をある程度は理解していなければならない。全体と部分のあいだのこの関係は〈解釈学的循環〉と呼ばれる。こうした循環を踏まえた理解の技術は解釈学と称され,プロテスタント神学,法解釈学,文献学などの中で精緻な展開を見ている。…

【リクール】より

…実存哲学と現象学の影響を受け,意志の現象学的分析を通して実存を反省する〈意志の哲学〉を構想し,《意志的なものと非意志的なもの》(1950),《有限性と有罪性》(1960)を発表。以後〈現象学的解釈学〉の構築をめざし,《フロイト論》(1965),《解釈の葛藤》(1969),《生きた隠喩》(1975)を著し,言語分析を通して解釈学を具体的に展開している。【久米 博】。…

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