装甲車(読み)そうこうしゃ(英語表記)armoured car

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

装甲車
そうこうしゃ
armoured car

防御のための装甲を施した自動車。軍用,警察用として,あるいはアメリカなどでは,民間で現金や金塊輸送などにも使用される。軍用装甲車は,火砲,機関銃 (砲) を装備し,偵察,輸送,戦闘,国内治安維持に使われる。 1899年イギリスで自動車に機関銃を装置したのが初めとされ,1906年までにフランスで砲塔のある装甲車を開発した。第2次世界大戦では,アフリカ戦線で多用された。日本では,上海事変で海軍陸戦隊がイギリスのビッカーズ装甲車を用いたが,32年国産初の九二式重装甲車が開発された。現在使用されているのは,装甲兵員輸送車で,戦車を援護するための歩兵を運搬し,戦車隊に随伴して機動戦を行う。普通,1個分隊 (約 10人) を輸送し,銃弾および砲弾の破片に耐える程度の装甲を装備,自衛用として 12.7mmおよび 7.6mm級の機関銃を装備している。さらに最近では,装甲歩兵戦闘車 armoured infantry combat vehicle (AICVまたは MICV) として,歩兵が乗車したままで,戦闘を行う性能をもつ装甲車が出現した。旧ソ連の BMP-76-PBは,76mm砲1,対戦車ミサイル「サガー」を装備し,乗員のほか歩兵を8人乗車させる。また湾岸戦争で活躍したアメリカのM-2ブラッドリー MICV (→M-2歩兵戦闘車 ) は,乗員3人,歩兵6人乗車,25mm機関砲1,7.62mm機関銃1,対戦車ミサイル発射機2を装備している。

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百科事典マイペディアの解説

装甲車【そうこうしゃ】

小火器弾を防御できる程度の装甲をとりつけた軍用自動車。機関銃・小口径火砲などを積載するほか,兵員輸送用のものもある。キャタピラー式と車輪式がある。時速40〜100km程度。強行突破の援護,市街戦などに使用する。
→関連項目機械化部隊

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世界大百科事典 第2版の解説

そうこうしゃ【装甲車 armored vehicle】

乗員を砲弾の破片や銃弾などから防護するために,車体の全部または一部を装甲板で囲った車両。装甲防護力は戦車ほど強くはない。軍用として歩兵部隊の戦闘,兵員輸送,偵察,指揮等に使用されるほか,警察用として治安,警備等にも使用される。走行装置の種類により,無限軌道(キャタピラ)を用いた装軌式,タイヤを用いた装輪式,前軸にタイヤを用い後軸を無限軌道とした半装軌式がある。装輪式装甲車が戦場に出現したのは第1次大戦初期の,戦車が使用される以前であり,大戦末期には装軌式装甲車も出現した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

装甲車
そうこうしゃ
armored car

戦車に比較して軽度の火力、防護力をもつ戦闘用車両で、おもに兵員輸送、偵察、指揮、歩兵の車上戦闘などに使用される。走行装置の違いにより装軌式(キャタピラー)、装輪式(タイヤ)、半装軌式(前輪タイヤ、後輪装軌のハーフトラック式)の3種類があり、過去には装軌装輪併用式もあった。装輪式装甲車(装甲自動車)の出現は戦車よりも早く、19世紀末にはその原型がみられるが、本格的な発展をみたのは第一次世界大戦においてであり、路上での高速力を利用して、とくに偵察、警戒などの任務に多用された。運用が道路網の整備に依存する度合いが大きい関係上、装輪装甲車はおもにヨーロッパ諸国を中心に発達してきた。装軌式装甲車としては、1918年にイギリスでつくられた号型が最初で、50人の兵員を輸送できたが、長足の進歩をみたのは第二次大戦後で、核兵器の脅威から歩兵を防護すると同時に、その機動性を高めるために装甲兵員輸送車がクローズアップされた結果による。最近ではその発展型として、歩兵の車上戦闘を目的とした、より重武装重装甲の歩兵戦闘車も出現し、またミサイルなど各種兵器のプラットフォームとしても使用されている。半装軌式装甲車は第二次大戦初頭からドイツ軍が、また後半にはアメリカ軍が兵員輸送用として大量に使用したが、装輪式と装軌式の長所をもつ反面、短所もあわせもつため中途半端な性格に陥りやすく、現在ではあまり使われていない。機構的には戦車に準じており、軍用のほか警察用として治安、警備などにも使用される。[竹内 昭]

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精選版 日本国語大辞典の解説

そうこう‐しゃ サウカフ‥【装甲車】

〘名〙 火力に対する防御用の装甲をほどこし武器を装備した車両。広義には戦車、装甲人員輸送車、装甲列車などを含むが、主として軽易な装甲をほどこした装甲自動車をさす。〔新しき用語の泉(1921)〕

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