鉛筆、ボールペンまたはタイプライター印字を複写するのに使用する薄葉紙(うすようし)で、カーボン紙を間に挟んで用いる紙(複写用紙)、複数の紙の上葉紙の裏面の全面または一部必要な部分にカーボンを塗布した紙(裏カーボン紙)、および化学発色をおこさせるノーカーボン紙(感圧複写紙)などがある。特性としては、薄葉紙(厚いものでは1平方メートル当りの坪(つぼ)量が40グラム、薄いものでは16グラム程度)としては腰が強く、ピンホールがなく、スタンプ印を圧しても破れず、多数枚の複写が可能で、地合いが良好で、不透明であることなどである。そのため複写用紙の原料パルプは100%晒(さらし)化学パルプを用い、とくに薄くて強度の大きい紙を得るためにはマニラ麻や靭皮(じんぴ)の晒化学パルプを大量に配合して抄造する。広義に複写とは、直接単一または一定数のコピーを作製したり、さらにオフセット印刷やジアゾペーパーによって多数の複製を作製するための原稿やマスターをつくることを可能とする方法のことであり、これに用いる紙をすべて複写紙とすれば、その種類は多く、透明印画紙のように透明度の大きい紙、厚手の加工紙なども含まれる。
[御田昭雄 2016年4月18日]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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