西域楽(読み)せいいきがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西域楽」の意味・わかりやすい解説

西域楽
せいいきがく

中国古代から代前半に西方諸国(西域)から伝来した音楽。南北朝隋唐の音楽を支配し,宋以後の音楽のさきがけとなった。「さいいきがく」とも読む。西域の範囲は時代によって異なるが,東西トルキスタンからインド,ペルシア,アラビアにも及ぶ。前漢武帝のとき,張騫の西域遠征の結果,摩訶兜勒(まかとろく)の曲が伝来したといわれるのが始まりで,以来,天竺亀茲疏勒安国康国高昌国などから楽舞が相次いで伝来し,隋唐の九部伎,十部伎の大部分を占めた。亀茲楽は西域楽の中心となるもので,北周蘇祇婆(そぎば)が伝えた胡琵琶の七調(娑陁力,雞識,沙識,沙侯加監,沙臘,般膽,俟利箑)はインド起源の調で唐代俗楽調理論の基礎となった。西域楽の楽器には,竪箜篌・鳳首箜篌(→箜篌),琵琶,五弦,,笛,篳篥腰鼓,斎鼓,擔鼓,銅鼓,都曇鼓(とどんこ),毛員鼓(もういんこ),揩鼓(答臘鼓),奚婁鼓羯鼓,侯提鼓,銅角,銅鈸,貝などがある。歌曲舞曲ともに中国音楽に大きな影響を及ぼし,特に唐代には俗楽と融合して唐俗楽の黄金時代を打ち立てた。この俗楽が日本に伝来して奈良平安期の雅楽となった。

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世界大百科事典(旧版)内の西域楽の言及

【揩鼓】より

…答臘鼓(とうろうこ)とも言う。インド起源で,中国の六朝時代に西域から伝来し,宮廷燕饗楽のための西域楽(十部伎)の亀茲(きじ)楽,疎勒(そろく)楽,高昌楽で用いられた。その奏法は左手で一革面をささえて,右手の指ですって鳴らすか,あるいは指弾する。…

※「西域楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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