(読み)ショウ(その他表記)xiāo

デジタル大辞泉 「簫」の意味・読み・例文・類語

しょう〔セウ〕【×簫】

中国管楽器で、縦笛一種複数の竹管を束ねた排簫はいしょうと、単管洞簫どうしょうとがある。

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精選版 日本国語大辞典 「簫」の意味・読み・例文・類語

しょうセウ【簫】

  1. 〘 名詞 〙 中国の管楽器。
  2. 雅楽用の古楽器。長さの違う縦吹きの竹管一三~二四本を横に並べ、下端を蜜蝋でふさぎ、上端を吹く。パンパイプの一種。現在はほとんど用いない。
    1. 簫<b>①</b>〈信西古楽図〉
      信西古楽図
    2. [初出の実例]「簫一口 納緋地錦袋並尺」(出典:西大寺資財流記帳‐宝亀一一年(780)一二月二五日)
    3. [その他の文献]〔風俗通‐簫〕
  3. 縦笛の一つ。一本の竹管で、六孔。主として俗楽に用いる。本来は洞簫といったが、略して簫というようになったもの。しょうの笛。

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普及版 字通 「簫」の読み・字形・画数・意味


18画

[字音] ショウ(セウ)

[説文解字]

[字形] 形声
声符は肅(粛)(しゆく)。〔説文〕五上「參差(しんじ)、管樂なり。鳳のに象る」とあり、長短の竹を序列して、翼の形に左右相対する。〔楚辞、九歌、湘君〕に「參差を吹いて誰をか思ふ」とあり、洞簫(どうしよう)をいう。大なるものは二十三管、小なるものは十六管であった。舜の楽を「簫(しようしよう)」という。もと神を祀るのに用いた。

[訓義]
1. しょうのふえ。
2. 舜の楽の名。
3. ゆはず、形が似ているのでいう。
4. しのだけ、やだけ。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕簫 籟(らい)なり、世乎乃不江(せをのふえ)〔和名抄〕簫 世宇乃布江(せうのふえ)〔字鏡集〕簫 フエ・セウノフエ

[語系]
簫・・嘯syは同声。肅siu、syuはみな声が近く、さびしくひきしまる意があり、同系の語。

[熟語]
簫笳・簫管・簫局・簫芸・簫鼓・簫勺・簫・簫吹・簫笛・簫籟
[下接語]
簫・横簫・笳簫・雅簫・管簫・玉簫・綵簫・小簫・笙簫・簫・頌簫・吹簫・清簫・短簫・長簫・洞簫・文簫・鳳簫・鳴簫・弄簫

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改訂新版 世界大百科事典 「簫」の意味・わかりやすい解説

簫 (しょう)
xiāo

中国の縦吹きノンリードの管楽器。指孔付きの1本の竹管からなる洞簫と,長さの異なる竹管を横に並べ,木の枠にはめこんだパンパイプの一種としての排簫の二つのタイプがある。

 排簫の各竹管の長さ,配列は時代や用途により異なるが,十二律に合わせることで,管の数は多いもので二十数本,少ないものでも十数本ある。これらの竹管は,長さの順にあるいは左右シンメトリーに配列される。また竹管には管孔がつつぬけのものと,下方が閉じたものとがある。中国で古くから存在したらしく,殷代出土の甲骨文中にも排簫の前身と思われるものがあり,河南出土文物からは排簫を吹く姿の土偶が発掘されており,漢代には相当普及していたことが知られる。排簫は鼓吹楽打楽器および吹奏楽器の演奏を主とした漢代の音楽で多くの場合,歌唱を伴う)の主要楽器であり,ほかに雅楽,隋・唐の十部伎二部伎でも用いられた。朝鮮でも雅楽器として使用され,日本の正倉院にも遺品がある。

 洞簫の前身は,漢代に篴(てき)と称された羌笛きようてき)であるといわれ,本来は甘粛・四川一帯の少数民族の楽器である。初めは,3~4孔であったが,前1世紀京房背面に1孔を加え5孔とした。現在では前に5孔,後に1孔,計6孔がある。長短いろいろな長さの洞簫があるが,日本の尺八と異なり,吹き口の切口斜面が内向きで,えぐり方が小さい。今日の中国の洞簫は鳳凰簫,玉屛簫,琴簫(別名雅簫)の3種があり,鳳凰簫は管の直径が約2.2cm,6孔。玉屛簫は管の直径1.05cmと細く,淡黄色の竹で製作され,6孔。琴簫は管の直径1.7~1.8cmで紫竹で作られ,8孔。最低音はでもっぱら古琴との合奏に用いられている。洞簫は,今日独奏,合奏,歌唱伴奏,地方戯曲や語り物音楽の伴奏等に幅広く用いられている。朝鮮にも伝えられ,雅楽でも民間でも用いられた。

 短簫という短いタイプもあり,長さ42cm。指孔は前に4孔,後に1孔で郷楽や室内楽の正楽でも用いる。
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百科事典マイペディア 「簫」の意味・わかりやすい解説

簫【しょう】

中国の管楽器。中国語ではシャオ。排簫(パイシャオ)と洞簫(ドンシャオ)の2種類あるが,現在は後者を一般に簫という。排簫は音律の定められた十数本の竹管を横に並べて吹くパンパイプ。鼓吹楽の主要楽器。洞簫は吹口に切り込みのある竹製の縦笛。日本の尺八や朝鮮半島のタンソ(短簫)と同系。吹口の切り込みの斜面が内向きで,えぐり方が小さいのが,尺八と異なる。現在では,前面に指孔5,背面に親指孔1をもち,独奏,合奏,歌の伴奏,地方戯曲や語り物音楽の伴奏などに広く用いられる。
→関連項目江南糸竹

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「簫」の意味・わかりやすい解説


しょう

東アジアの気鳴楽器。竹管の上端のエッジ(歌口)に息を当てて鳴らす。複数の管をもつパンパイプ型のものと、単管のものに大別される。前者は排簫(はいしょう)または鳳簫(ほうしょう)ともよばれ、13~24本の長短の竹管を並べたものである。日本へは奈良時代に唐楽の楽器として中国から伝来した。正倉院に伝来する簫はその実物で、管内に詰め物をして調律した跡がある。後者は洞簫(どうしょう)として一般に知られ、西域(せいいき)の葦笛(あしぶえ)が東へ伝わったものと考えられる。現存の中国清(しん)朝の雅楽用のものは管長約54センチメートル、指穴は前面に五つ、裏に一つあり、日本の尺八とは逆に、管壁の内側を削ってエッジをつくっている。正倉院の雅楽尺八もこの一種である。また、近世日本の一節切(ひとよぎり)や普化(ふけ)尺八を洞簫とよぶこともある。

[卜田隆嗣]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「簫」の意味・わかりやすい解説


しょう
xiao

中国の気鳴楽器。正確には,筏型の多管式気鳴楽器である排簫 (→パンの笛 ) と,無簧式で指孔つきの縦笛である洞簫がある。初期の排簫は 10本あまりの竹管を長さの順に筏型に並べたもので開管の状態で残されており,後世の排簫は鳳凰の翼の型の枠にはめこまれていく閉管である。

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