観自在王院跡(読み)カンジザイオウインアト

デジタル大辞泉 「観自在王院跡」の意味・読み・例文・類語

かんじざいおういん‐あと〔クワンジザイワウヰン‐〕【観自在王院跡】

岩手県西磐井にしいわい平泉町毛越寺の東側にある寺院跡。藤原基衡の妻の建立と伝えられ、舞鶴が池を中心とする庭園を中心として、大阿弥陀堂・小阿弥陀堂などの遺構が残る。現在の阿弥陀堂は享保年間に再建されたもの。平成23年(2011)「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺産群-」の一つとして世界遺産文化遺産)に登録された。→平泉

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日本歴史地名大系 「観自在王院跡」の解説

観自在王院跡
かんじざいおういんあと

[現在地名]平泉町平泉 大沢

藤原基衡の妻の建立と伝え、毛越もうつう寺東隣にある寺院跡。池を中心とする庭園と大阿弥陀堂・小阿弥陀堂などの遺構があり、現在は池の北側に享保年間(一七一六―三六)再建の阿弥陀堂(方三間)礼堂(三間×二間)が前後して建てられている。国指定特別史跡毛越寺の指定地内に含まれる。

吾妻鏡」文治五年(一一八九)九月一七日条所収の寺塔已下注文に「観自在王院号阿弥陀堂也、基衡妻宗任女建立也、四壁図絵洛陽霊地名所、仏壇者銀也、高欄者磨金也、次小阿弥陀堂、同人建立也、障子色紙形、参議教長卿所染筆也」とあり、正和二年(一三一三)一二月吉日の中尊寺大衆訴状案(中尊寺文書)にはその荘厳が詳述され、「大阿弥陀堂本尊弥陀之三尊、仏壇者一丈五尺、高欄托洗金鏡欄云是也、内陣組入天井金為毘多打、柱一本四万貫、四本十六万貫也、西壁絵、一番八幡御放生会、二番加茂祭、三番鞍馬之様、四番醍醐桜会之様、五番宇治平等院之様、六番嵯峨之様、七番清水之様、仏之後門壁絵、阿弥陀、因位之昔、於内裏於自在王仏之御前参、有持戒御出家、御本尊参給処書也、(中略)羅網之玉、唐人相越造、則是唐物也、此堂三間四面南向也、小阿弥陀堂納物、此内装束鏡基衡北之方花会具足是也、忝弘法大師御真筆、孔雀尾法華経一部、隠岐院(後鳥羽)之一宇三礼之法華経一部」とあり、阿弥陀堂ではあるが南向きであること、西壁に京都の名所絵が描かれていることが注目される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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