自衛隊の儀式の一つで,旧日本陸軍の観兵式に当たるもの。観兵式は1868年(明治1)明治天皇が即位後,京都河東操練場で護衛諸隊の軍容を親閲したのが始まりと伝えられ,陸軍記念日や天長節などの中央式典では大元帥たる天皇が観閲官となった。観兵式には,整列した部隊を巡閲してまわる閲兵式と,兵隊を行進させて観閲する分列式とがあった。自衛隊の観閲式は(1)内閣総理大臣,防衛庁長官,防衛次官,統合幕僚会議議長,幕僚長,指揮系統上の部隊の長である将などが就任後初めてその指揮下の部隊などを公式に視察する場合,(2)自衛隊旗授与式,(3)表彰式,祝賀式,着任・離任式などに行われる。自衛隊創隊記念日,駐屯地,師団などの創立記念日,友好国の長官や参謀総長の来訪時に行われることもある。式は観閲官に対する敬礼または栄誉礼,整列した部隊の巡閲,訓示(祝辞),観閲官の前を部隊が行進する観閲行進の順に行う。なお,旧日本海軍,海上自衛隊の観艦式が観閲式,観兵式の中央式典に相当する。諸外国でも観閲式を行っており,中央式典では国家元首が観閲官となることが多い。
執筆者:青地 弥一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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