師団(読み)シダン(その他表記)division

翻訳|division

デジタル大辞泉 「師団」の意味・読み・例文・類語

し‐だん【師団】

陸軍部隊一つで、独立した作戦行動のとれる最大の固定編制部隊。諸兵科の旅団連隊大隊などを統合して構成される。

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精選版 日本国語大辞典 「師団」の意味・読み・例文・類語

し‐だん【師団】

  1. 〘 名詞 〙 陸軍の常備的な編制をとる最大の部隊で、ある程度の独立した作戦行動のとれる諸職種連合の作戦部隊。一八世紀末、ナポレオン一世が創始した陸軍編制の基本。日本では明治二一年(一八八八鎮台を改編して設置。〔軍制綱領(1875)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「師団」の意味・わかりやすい解説

師団 (しだん)
division

歩兵戦車砲兵等を基幹とし,その他これらを支援する諸兵種を連合させ編成した基本的な作戦部隊。18世紀末,ナポレオンによって初めて作られた組織であり,通常は1万~2万5000人の兵力を保有する。この師団の出現によって,単一の兵種の編成部隊ではできなかった部隊の独立作戦が可能になり,戦術,部隊運用にも大きな進歩を促すこととなった。以来各国において,師団はまたは軍団の基幹部隊として,主要な作戦正面を担当する基本的な作戦部隊に位置づけられ,また固有の編制をもつ最大の部隊としている国が多い。その編制の内容は,各国の戦略戦術思想や予想戦場の特性等によって差異があるが,タイプとしては歩兵,機械化,機甲,戦車,空挺空中機動等の諸師団があり,旅団または連隊を基幹として編成している。なお,近年の各国の師団は,特に戦車,各種装甲戦闘車,ロケット,ミサイル等の装備の近代化が図られており,戦力の向上が著しい。

旧陸軍においては,1888年に従来の鎮台を廃止し,2個歩兵旅団を有する師団編成を採用した。師団は師団司令部,歩兵旅団2(歩兵連隊各2),騎兵連隊1,砲兵連隊1,工兵大隊1,輜重(しちよう)兵(輸送)大隊1で基幹の4単位(この場合歩兵連隊)が原型である。1937年,師団急造に伴い,3単位(旅団2を歩兵団司令部1,歩兵連隊3)に改められた。平時の常備師団は,近衛師団,第1~20(うち13,15,17,18が欠)師団で,戦時動員で新たに編成される師団を特設師団といった。

陸上自衛隊は1961年,従来の管区隊を師団に改編して各方面隊の基幹部隊とし,各国の例にならった。ただし,日本の地形区画に適合させる等のため,通常の師団よりもかなり小型にした。陸上自衛隊は,外国の歩兵にあたる普通科部隊を主体とした師団12個と,戦車部隊を主体とした機甲師団1個の,計13個師団を保有している。普通科を主体とした師団は,編成人員約9000のものと約7000のものとの2種類にわけられ,普通科連隊3~4,特科(砲兵)連隊1,戦車,施設(工兵),通信の各大隊その他の部隊をもって編成されている。また機甲師団は,普通科連隊1,戦車連隊3,特科連隊2,後方支援連隊1,施設,通信の各大隊その他の部隊をもって編成され,火力および機動力が強化されている。
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百科事典マイペディア 「師団」の意味・わかりやすい解説

師団【しだん】

陸軍の戦略単位で,その規模,編成については国によって一様ではない。旧日本陸軍では,清国との戦争に備え1888年,桂太郎が中心になりドイツの軍制にならってそれまでの鎮台を廃止して師団を編制した。2個の歩兵旅団,砲兵連隊,工兵騎兵輜重(しちょう)兵の各大隊よりなり師団長は天皇に直属した。師団数は日清戦争時は7,明治末には19,第1次大戦後は世界的な軍縮気運のなかで21から17と減ったが,二・二六事件後急速にふえ1940年に50個師団となり旅団を廃止して歩兵3個連隊を中心とする3単位制の編制に改めた。太平洋戦争開始後は戦車師団,飛行師団,高射砲師団なども設けられた。また,陸上自衛隊の戦略単位も師団という。→軍隊
→関連項目陸軍

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「師団」の意味・わかりやすい解説

師団
しだん
division

戦闘・補給・管理・衛生など総合的な機能をもち、独立的に作戦を遂行しうる、陸軍の主要な職種(兵科)をひとまとめにした諸職種連合の部隊。陸上自衛隊では最大の編制部隊で、方面隊の基幹部隊として主要な作戦正面を担任する基本的な作戦部隊である。通常、少将ないし中将(陸上自衛隊では陸将)によって指揮される。近代的な師団制度は、フランス革命期、とりわけナポレオン1世によって確立され、世界の陸軍編制の基本となった。海空軍でも師団の語を用いることがある。師団の内容は、時代と兵器の進歩、戦争形態や国情などで変遷し、今日では歩兵師団、機械化歩兵師団、機甲(戦車)師団、砲兵師団、空挺(くうてい)師団、海兵師団、航空兵師団などがある。陸上自衛隊は13個師団(各3ないし4個普通科連隊基幹の12個歩兵師団と3個戦車連隊基幹の第7機甲師団)・2個混成団基幹の18万人体制を長くとってきたが、ソ連崩壊、ポスト冷戦などの戦略環境変化に対応し、1996年度(平成8年度)以降、師団改編(9000人から即応予備自衛官を含む約7700人へ定数減など)・旅団化などのスリム化、コンパクト化、効率化を実施し、9個師団・6個旅団基幹の16万人体制へと逐次移行している。

[中山敏雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「師団」の意味・わかりやすい解説

師団
しだん
division

独立して戦闘を行えるよう各兵科をそろえた,陸軍の最小の戦略単位。現在では師団は戦術単位で,師団数個で編制される軍 (軍団) を戦略単位とするところが多い。国によって規模が異なるが,通常,1万 1000人から1万 9000人の間で,下級将官が司令官である。大別して,歩兵師団と機甲師団があるほか,空挺師団,山岳師団といった特殊なものもある。師団制度は,フランス革命時のフランス軍によってつくられ,ナポレオン1世によって改良された。 1813年には,プロシア軍が師団制度を採用し,19世紀末までに他のヨーロッパ諸国がこれにならった。日本で師団制度がとられたのは 88年であり,鎮台を廃して,東京に第1,仙台に第2,名古屋に第3,大阪に第4,広島に第5,熊本に第6の各師団がつくられ,91年に近衛師団が発足,96年に屯田兵が第7師団となった。陸上自衛隊では甲タイプで 9000人,乙タイプ 7000人で列国よりも小さい。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「師団」の解説

師団
しだん

陸軍の常備兵団としての最大単位の部隊で,独立して作戦しうる戦略単位。1888年(明治21)5月に,それまでの各軍管を担当する鎮台を改編したもの。歩兵旅団2(歩兵連隊各2),騎兵連隊1,砲兵連隊1,工兵大隊1,輜重(しちょう)兵大隊1,師団司令部などから構成される。1937年(昭和12)の師団急増にともない,旅団2を歩兵師団司令部1,歩兵連隊3に改めた。平時には人員約1万人,戦時には約2万5000人の規模。宇垣軍縮から日中戦争まで師団数は17だったが,戦争開始から2年間で倍増され,第2次大戦の敗戦前には189個師団になっていた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「師団」の解説

師団
しだん

①旧陸軍の兵力編成単位
②陸上自衛隊の兵力編成単位
1888年師団司令部条例を公布,対外戦争を主眼として従来の鎮台を改編。師団司令部をもち,独立して作戦しうる戦略単位として編成。師団数は,日清戦争までは7,以後増設され,第二次世界大戦の敗戦時には約200個師団が各地に散在していた。
1962年従来の管区隊を師団に改編。

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世界大百科事典(旧版)内の師団の言及

【軍隊】より

…実力部隊である軍隊は通常,陸,海,空の三軍から成るが,国によってはこのほかに海兵隊をもち,かつてのソ連は防空軍,戦略ロケット軍を独立した軍種としていた。陸軍の諸兵科統合の基本作戦部隊は師団である。師団は歩兵(狙撃),戦車,機械化,空挺等の種類があり,山岳師団をもつ国もある。…

【陸軍】より

…王は兵1000人について砲6門を配備した。ナポレオン1世は,歩兵,騎兵,砲兵を統合して師団を編成し,師団を数個あわせて軍団とした。戦闘にあたっては砲兵を要点に集中し,火砲の威力を最大限に利用する戦術をとった。…

※「師団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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